先日の事件で怪我をした入院していた僕の元に、ある日、先輩がお見舞いにやってきて、『呪いの本』について尋ねてきた。僕と志乃ちゃんが再会したばかりのころ、先輩と三人で解決した『呪いの本』に纏わる事件のことだ。お見舞いに来ていた真白ちゃんに尋ねられて、僕はあの夏の日を思い出した……
本編のイラストが、今回ほどすばらしいと思ったことはないかもしれない。特に9ページ目のちょっとにらむ志乃ちゃん最高。209ページの思案する真白ちゃんも捨てがたいけど(メガネが素敵に似合ってる)、志乃ちゃんには惜しくも届かずかな。いやあ、思わず道を踏み外しそうになりました。あぶねあぶね。
というわけで、過去に解決した「呪いの本」に纏わる密室殺人事件と、再び「呪いの本」が引き起こした密室殺人事件を、お見舞いに来ていた三人が頭脳で立ち向かうお話です。安楽椅子探偵のように、現場にいくことなく、僕のいる病室内で事件を解決していく展開ですね。ミステリーの王道とも言うべき雰囲気がたっぷりで嬉しい。
二人が始めて呪いの本に関わったのは、密室の中で老人が、体中に五十三の傷を負って死んだという事件ですが、事件そのものよりも、呪いの本の気持ち悪さと、犯人の動機を納得というより理解できてしまう志乃ちゃんに対して、畏怖というか嫌悪のようなものを感じてしまう「僕」の気持ちが印象的でした。
もうちょっと犯人の「異常」さを感じられると、「僕」の気持ちに感情移入できたかなと思うけど、志乃ちゃんと僕の関係が変化するきっかけとなったという話は、興味深かったですね。その後に続いた「呪いの本」の出所を調べている先で起きた殺人事件も面白かったです。
第一部と第二部の繋ぎとなるお話ということで派手なことはなく(病院から一歩も出てないし)、謎自体はちょっと物足りないところがありましたが、四人で話をしているときに、「僕」が真白ちゃんに何かすると、さりげなくむくれる志乃ちゃんが見れたし、最後の拗ね方も可愛かったし、満足満足。
SHI-NO―呪いは五つの穴にある (富士見ミステリー文庫 (FM76-5))
上月 雨音
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