ヴィクトリカが熱を出したらしい。修道院や豪華列車での出来事で疲れが出たのかもしれない。意地悪で、生意気で、悪魔的なやつだけど、ちょっと心配になった一弥は、お見舞いに行く事にした。
たいくつしているらしいヴィクトリカは、一弥におもしろい話と、お見舞いの花をせがんで……
というわけで、寝込んだヴィクトリカのお見舞いに行った一弥が、毎日お花と、それに合わせたお話を読み聞かせるという5つのお話からなる短編集です。
具合が悪くてもいつもどおりのヴィクトリカですが、花を要求したり、寂しい様子を見せたりするところを読んでるとニヤついちゃいますね。一弥が持ってきた花を、大事に花瓶に挿しておくところが、とても印象的です。素直じゃないんだから、もう。
いばりんぼと思いながら、一弥が面倒を見てしまうのもわかりますよね。つむじとかほっぺたをつつきたくなる可愛さがあるってことも、忘れちゃいけないけど。
毎回毎回、お花を持ってきて、物語を読み聞かせる一弥の献身っぷりがたまりません。
一弥が持ってくる本の中にある物語は、歴史書みたいな手記なので、謎らしい謎なんて無いように思えるんですが、自分の読み方の浅さを知るばかり。ヴィクトリカに指摘されて、ああ、そういえばと何度思ったことか。
いや、謎物語として読んでたら気づいたかもしれないけど……言い訳です、はい。
ちょっとした不思議をあっさり解明して、面倒といいながら、一弥のためにちゃんと説明してくれるヴィクトリカがいいですね。
個人的に好きなお話は、第三話の「幻惑」かな。ヴィクトリカがニンジンを食べてるイラストにやられてしまったというのもあるけれど、一弥が読み聞かせる物語が良かったんですよね。お話と、謎解きと。一粒で二度おいしいじゃないけれど、この短編集はとても良かったです。
さて、この平和な時間は、どうやら一時的なもののようですね。エピローグで登場した人たちが、今後ヴィクトリカが巻き込まれるであろう話について語っているだけに、どんな事態が待ち受けているのか、気になるところ。
ちなみに、個人的に結構気に入ってるアブリルは、今回もいろいろ一人相撲してくれて、楽しかったなあ。次も期待したいですね。
GOSICKs 3 (3)
桜庭 一樹
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