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[上月雨音] SHI-NO ―シノ― 愛の証明

市井垣忍の個展が開かれるという知らせを受けて、先輩、僕、志乃ちゃんの三人は、そのイベントに向かった。残念ながら何の手がかりもつかめなかった、と思った矢先に、それは起こった。
突然の停電、閉まるシャッター。
暗闇に閉ざされたフロアには、十人に満たない人と、カウントダウンしている爆弾があり……。

前作で志乃ちゃんを狙っていたデッドエンドコンプレックスとの最終決戦ですね。クローズドな場所。自殺志願者が相手。共に死ぬことを狙っているであろうから、閉じ込められたという人たちの中に犯人がいるという状況でのカウントダウンな物語です。

いやあ、面白かった。今までで一番好きかも。
カウントダウンの緊張感よりも、時間制限における犯人との駆け引きによる緊迫感が良かった。志乃ちゃんという存在が、これほどまでにプレッシャーを呼び込むとは思いませんでしたね。個人的にはもうちょっと犯人側の心理描写が欲しかったですけど。

志乃ちゃんと「僕」の関係は良かったなあ。「最悪」についての判断が違うのは当然ですが、相手を追い詰めないように「僕」が行動しようとするところが良かったです。志乃ちゃんの成長物語であると同時に「僕」の成長物語でもあるんですね。

今回は、志乃ちゃんの内面が見えませんでしたが、きっと彼の言葉をそのまま受け止めてくれたんじゃないかなあと、あのエピローグで思いました。交わす言葉が少ないのに、相手を思う気持ちが、何でこんなに伝わってくるんでしょうね。素敵な素敵な雰囲気のエピローグに大満足。

ただ、いつものことではあるんですが、無駄な語りが多かったのがもったいないと思いました。事件後のあの子との会話は、既に「僕」が気づいていることなので、延々と話されて興ざめしてしまいました。事件の余韻が無くなっちゃって……。
事件の緊迫感と、彼の決意、エピローグという展開がとても良かっただけに、残念ですね。

さて、これで第一部完だそうです。といっても、一区切りという意味らしいですが。
これからふたりでどんな道を歩んでいくのか、楽しみですね。

SHI‐NO―愛の証明 (富士見ミステリー文庫) - 上月 雨音

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