「桃原くん、貴方は」
ふっと星の顔から笑みが消える。
「世界の平和と、いのりちゃんとの暮らし、どちらを選ぶかしら?」
咎人を煉獄へと送る教誨師(グリモアリス)として、地上へ降り立つ少女・アコニットと、彼女の手助けをする桃原グループの御曹司・誓護が繰り広げるファンタジーな事件簿シリーズの第九弾。アルマゲドンを起こし、普通の世界と天国、地獄の三つの世界の垣根を無くそうと、地獄にいる光の王が動き出すシリーズ最終巻です。
光の王や地獄にいるものたちは、全てがグリモアリスレベルで、さらに圧倒的な数の差があって、どうあがいても勝ち目がないんじゃないかと思うのに、これを切り抜けるために誓護が労した策が、非情にも凄かった。まさかアルマゲドンすら利用するとは……。いのりを第一に考えているとはいえ、目の前の人を助けられないというのは、きつかったろうなあ。それでもやり遂げて、世界の醜さを知り、同時に美しさも知った最後のシーンが印象的でした。
それにしても、世界を返るような動きが、まさかこういう思いから生まれていたとは……。それは野望というには、あまりにも個人的な思いであり、決して美しいと思えないものであったので、遣りきれない思いになる。
宿命と言える対決が、数カ所で行われていましたが、中でも一番印象的だったのは、やはりアコニットと鈴蘭ですね。単に力という意味での強さは鈴蘭に軍配が上がるかも知れませんが、戦ったときに勝つのはアコニットとなる。その理由が見えてくるところが……間違ったと気づいて引き返すことは、とても難しいと思う。でも支えてくれる友人がいれば、ね。罪は罪だけど、いつか友と呼ぶ人が側に戻ってきてくれることを祈ってる。
幻想譚グリモアリスVI かくてアダムに祝福を (富士見ファンタジア文庫)
海冬 レイジ
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