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漂う書庫のヴェルテ・テラ(3) / 川口士

「……それが、おまえが書物を燃やす理由になるのか」
「なるとも」
パラセンダルは鷹揚にうなずいた。
「私は神を、地上に降臨させるつもりでいるのでな」

祈りと印によって、空に輝く星々の力を行使する星導師の少年・ジグウォルと「万巻の書」と呼ばれる精霊レジィナが、戦によってあちこちに散らばった本を探す旅に出る物語の第三弾。今回は、復讐のため、ひとり聖都へと向かうジグウォルが、枢機卿の強さを目の当たりにするお話しです。第一部完結編。

いやはや、まさかこんなに実力差があるとは。

怒りからジグウォルはひとりで特攻して、あえなく潰され、生かされていたのは、ほんの気まぐれのような状態だったので、どうなるかと思ったけれど、彼はひとりじゃないってところから、切り替えしを図っていく展開が熱い。それは人を思う気持ちだったり、別の目的だったりするけれど、なんだかんだで彼を慕うからこそ、絶対的に不利な状況でも力を貸してくれるんだよなあ。そういう人たちがいてくれることの力強さを感じました。

でも、不器用だよね、ジグウォルって。まあ、そうじゃないと、ここまで強くなれないと思うけれど、自分から不要な恨みを買わなくてもいいのに……

そんなジグウォルは置いといて(置くのかよ)、今回は、女性陣がいろいろな思いを見せてくれました。これまでひとりで過ごしてきたレジィナは、ジグウォルという存在を知ってから孤独を感じるようになったり、あるいは彼と敵対刷る立場にありながら、出来れば……と考えるリシェル、そして、彼を好きだと公言してはばからないティベリア。それぞれどんな思いでいるか見えて、一歩先にいったのは……と思ったけど、彼女は旅路についてこないんだよねぇ、うむむ。どうなることやら。

個人的に理解が難しいのは、枢機卿たるパラセンダルの考えですね。たしかにジグウォルの力は得がたいものがあるけれど、「神」という目的のために、ささいな描写があるだけで焚書する行動からすると、ジグウォルを生かしておく理由が良くわからない。とはいえ、ジグウォルの渾身の力を目の当たりにして喜んだりするから、複雑な思いがありそうなので、まだ明かされてないことがあるのかな。

今回で第一部が完結とのことですが、いい感じに盛り上がってきているので、第二部に期待ですね。修行の旅へと向かうけれど、いつかきっと戻ってこれると信じてる。

漂う書庫のヴェルテ・テラ3 (富士見ファンタジア文庫) - 川口 士

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