「たしかにスノウピーさんはすごい美人だけど……負けないっ。わたしにだって人間の女の子としてのプライドがあるもん。雪の精になんか絶対に負けるもんですか」
「何を言ってるんだ、可香谷さん?」僕は思わず首を傾げる。「スノウピーは争いごとを好まないんだよ。知的な存在なんだ」
「ああもう、そういうことじゃないのよ、鈍感っ」
何かと不思議な経験をする僕が、ある日雪の世界に紛れ込んで、スノウピーと名乗る美少女と出会って、こちらの世界に連れてきてしまった。こちらの世界でTVばかり見ていたスノウピーは、やがて学校へ通いたいと言い出して……不器用な僕と無表情なスノウピー、クラスメイトの可香谷さんが繰り広げる学園ラブコメ物語です。
あはは。男の子の気持ちが結構よくわかる。相手の感情に対して、「その理屈はおかしい」みたいな返事しちゃうんですよね。そしてよけい怒られる。思わず「僕」に共感してしまいましたが、ただまあ幾ら何でも鈍感すぎる……。
女の子の好意に気づかない鈍感少年ものって、同じような感じなのに、好きなタイプとあんま好きになれないタイプがあるんだなあと最近気づきました。ちなみにこれはあまり好きではないタイプ。
でも、自分が異世界から連れてきちゃったこともあって、この世界に慣れていないスノウピーばかり気にかけてしまう「僕」をみて、じりじり嫉妬する可香谷さんはとてもカワイかった。小説家を目指してて、ひょんなことから「僕」にバレて、秘密にしておいてねと協力要請してから、取材と称していろいろ付き合わせてしまう様子が、とても微笑ましい。素直になれないから、いろいろ苦労しそうだけど、彼女には頑張って欲しいものです。
一方のスノウピーは、心情をほとんど見せないんですが、人間に興味を思っているのは確かで、時に実験と称して怒らすようなこともするけれど、根は優しい子……なんじゃないかなと思うのは僕だけなのかどうか。
決して人の悪意を責めたりせず、この世界で生きて行こうとする姿は、健気に思うものがありました。
今後は三角になるのかなと思いつつ、不器用な男と、無表情な女と、感情豊かなツンデレ女で、はたして三角になるのかしら……とも思ったり。いろいろ気になるところです。
第1回ネクストファンタジア大賞銀賞受賞作。
スノウピー1 スノウピー、見つめる (富士見ファンタジア文庫)
山田 有
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