「マルクさん……。マルクさんの方こそ考え直してくれませんか?」
ただ、前と決定的に違うのは―
「マルクさんがいなくなったら、みんな悲しいです」
主を裏切ったのが、マルクだということだった。
精霊に対価を捧げ、異能の力を手に入れた契約者たるお嬢様のエルミナと執事・マルクが繰り広げるコミカルなシリーズの第六弾。エルミナの過去の秘密が明らかになったことで、屋敷の使用人たちが分裂し戦うことになる眠り姫編の完結です。
いやあ、面白かった。
はじめは秘密に近づいたことで、マルクの記憶もあやふやになってしまったことや、いつになくエルミナの様子がおかしいことに、もやもやしたものを抱えながら読んでたんですが、まあ違和感はあっても、普通は思い当たらないですよね。入れ替わりなんて。
マルクにとってはエルミナが主ですが、アイシャにとってはエミリオが主。それが原因でまさかこの二人が、本気で戦うことになるとは……と思っていたら、ふたりだけでなく、さらに使用人が戦いに参加して、苛烈になっていくからびっくりでした。 まあ、なんだ。君たちは言葉が足りない。なまじ力で物事を解決しちゃうから、こういうことになるんだろうなあ。
エミリオがふいに見せる寂しそうな様子には、胸にズキッとくるものがありますが、そんな彼女が「ゲーム」を持ちかけたのは、おそらく心の整理のためだったんだと思います。勝てると、どこまで本気で思ってたかは……ね。
それにしても、シリアスな雰囲気だったのに、マルクの「姉妹ゲンカ」の一言から、一転してコミカルになったのは良かった。ああいう雰囲気を持ち出してのドタバタは好きだなあ。
もちろん、過去の秘密から衝撃を受けることもあるけど、それを受け止めてくれる人がいるってところを見せてくれて、良かったです。
さてさて、これにて「眠り姫編」が終了ですが、物語の最後にマルクが、きゃー!と言いたくなることをしてくれたおかげで、ニヤニヤが止まりません。
こうなると、それを見ていたライバルたちがどういう心境になるのか楽しみですね。
影執事マルクの覚醒 (富士見ファンタジア文庫)
手島 史詞
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