「少年、何をためらっているんだ?君は言ったじゃないか。鍵があるなら―」
「開けるだけ……」
「わたしは君に新しい鍵をあげるだけだ。君が頷いてくれるならね」
目についた鍵を開けずにいられず、どんな錠でも開けてしまう少年キリエは、ある年の祭りの日に、好奇心旺盛な妹ミドリカに連れられて「監獄砦」を訪れた。罪人を閉じ込めていると噂されるも無人の砦は、なぜか厳重に鍵がかかっており、ひとつひとつ開けて先に進むと待ち受けていたのは、大統領を名乗る美女だった……というお話。
うーん、雰囲気はとてもいいんだけど、「鍵開け」の魅力が伝わってこなかったなあ。どんな鍵でもすぐ開けてしまうし、開けられない錠があっても、試行錯誤するわけでもないし、突如開けられるようになったりするので……。魔法があるのはわかるけど、なんかね。
鍵開け+魔法という設定といったら「魔法鍵師 カルナの冒険」という作品があって、そっちは鍵開けの魅力を伝えてくれていただけに、何とも物足りないものを感じます。
ただ、目の前にある鍵を開けることだけを目的としたキリエが、開けてはならぬものを開けてしまってから、不穏な雰囲気が漂ってくるんですが、それまで鍵と、せいぜい家族にしか興味を持っていなかったリキエが、街を襲った出来事により、これまで気づかなかった感情に揺さぶられるところは良かったですね。 背景とか、もうちょっと見えてくれると良かったんだけど……
雰囲気が良いだけに、物足りない点が多かったのは残念です。
鍵開けキリエと封緘師 小箱は開くのを待っている (富士見ファンタジア文庫)
池田 朝佳
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