たとえ会えなくても、月明かりに照らされていれば咲き続ける雛罌粟でいられる。月神に仕える彼がこの大地に平穏を降らせることで守ってくれているのだと感じることができる。
けれど、それでも、会いたいと願ってしまう。
寂しさは消えない。頬に触れた彼の手の感触が、今もくすぐったく残っている。あの時、拒んでいなければ、唇でも彼を思い出せていたのだろうか。
囚われの王女・アマポーラと第二王子・テオバルトの禁断の恋を描くシリーズの第二弾。今回は、離れ離れになり、テオバルトの前に彼の力を狙う悪魔が、アマポーラの前に彼女の声を狙う貴族が現れるお話です。
ああ、なんと切ない物語。
離れ離れになっても、どこかで生きていてくれていれば、いつか会える日があるかもしれないという希望を糧にできるのに、そんな心の隙間をつくように、悪魔や権力者が動いてくるからやりきれない。
特にアマポーラは……生きていくことの大変さを知り、それでもエレンに誇れるよう、一生懸命になっているところを、心ない男に狙われて、人質を取られ、それでも自分の出来ることをやり遂げようとする姿に、強さを感じました。
愛する人を守りたいという思いは、みなが抱えていて、だからこそ、それぞれの行動に何も言えなくなる。でも、それでも……と言いたくなる思いがありますが、それを堪えて、いつかある未来の為に動くテオバルトの姿が印象的でした。
きっと、きっとエレンが支えになってくれる。きっと……。
いろいろ付け足された設定は、どこか蛇足なところがあったのは否めないと思いますが(あれだけきれいに終わってしまってるとね)、次で終りらしいので、素敵な結末を迎えてくれることを期待しています。
花守の竜の叙情詩2 (富士見ファンタジア文庫)
淡路 帆希
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