「おまえは別にジェレイドの元に駆けつけたときから<風の戦乙女>を名乗っていたわけではないのだろう?」
「そうよ。その後にちょっと色々あって、こんな格好をするようにまでなったの」
言って、ミーアは服をつまんでみせた。思わずアレスは目を背けた。
「き、聞いてみたいものだな。実際に何があったのかを」
「いいわ。じゃあ話してあげる。長い話になるけど、今のあたしたちにはそれぐらいの時間はありそうだしね」
貴族の暴虐を正すとして、若き指揮官ジェレイドと<風の戦乙女>が率いる反乱軍と、それを治めようとする王国軍の戦いを描いたお話の第八弾。今回は、ディレニア軍との戦いを前にして、ジェレイドやミーアが過去の反乱軍の戦いの模様を語るお話です。
ミーアが「戦乙女」となった話や、ジェレイドの優秀な秘書オリビアとの出会いなど、反乱軍側の主要人物達の過去話はとても興味深い物がありました。中でもジェレイドの成長がすごい。
初めはどうしても甘さがあり、冷徹たろうとしながらも弱さを見せていたんですが、戦をくぐり抜けて、軍の規模が大きくなって行くにつれて、「今」のジェレイドとなっていったんだなと思う次第です。まだ弱さはあるけれど、それを胸のうちに収めて冷徹になれるところが彼のすごさですよね。
そんな彼が躍進できたのは、共に歩んできたミーアがいてこそですが。
風の戦乙女と言われて、実際その風の力を持って敵を退けていましたが、どちらかというと彼女の力のすごさは、ジェレイドの声を、前線にいる長たちに届けることができたということが一番じゃないかなあと思いました。情報戦を制したら、そりゃ強いわけだ。
そんなふたり(だけじゃないけど)の強さを見せられたあとだからこそ、最後に本編に戻ってきた後、パンドラの一言で揺れたアレスが、ものすごく弱く感じました。いや、たしかにあれは衝撃的でしたけどね!
彼の無双っぷりは、力に守られてたところが大きかったことは間違いないけど、それでも決して力がないわけじゃないだろうに……そこに気づけるかどうかが今後の鍵となるんでしょうか。
パンドラの一言と、フィリップに降りてきた声は、次なる展開を予想させてくれないですが、アレスに大いなる困難が待ち受けていることは、間違いないと思います。いったいどうなるのか、続きが楽しみでなりません。
火の国、風の国物語8 孤影落日 (富士見ファンタジア文庫)
師走 トオル
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Comment:2
- 通りすがり 2009-11-26 (木) 19:38
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アレスのあれは電撃の「カレとカノジョと召喚魔法」という作品で似たような話がありましたよね。あちらは失くしたものを取り戻すことで起きる不具合に問題が置かれていましたがこちらは逆にあったものがなくなる事に対する不具合なわけですが。
パンドラの助言というのはある意味で普通の人間にとっての「目」以上の感覚器官のようなものですし、作中でも言及されていましたがアレスはあまり自分自身の判断というのを戦い以外の場で下していませんでしたから、ある意味で自らの目を瞑り、パンドラに手を引かれて生きてきていたと言えなくもないわけで・・・。
そう考えるといきなり自分の手を今まで引いてくれていた「手」と自身の「目」が見えなくなったも同義なわけであの反応も致し方ないかと・・・。
まぁ自分はあれはパンドラさんが最終的に「主」から離反して正ヒロインの座に着くための伏線だと信じていますけど。
っていうかあそこで終わって次巻が多分春とかモヤモヤが半端ないですね。 - deltazulu 2009-11-28 (土) 09:50
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たしかにパンドラに導かれていたと考えると、あの反応も仕方ないんでしょうね。強くても……ですか。
> 正ヒロインの座に着くための伏線
Σそんな伏線!
そっち側に参戦してくるとは思ってもいなかったです。どうなんでしょうねぇ。ほんと早く続きが出て欲しい……!







