「そんな身勝手な理屈が通ってたまるか!」
「わたしも同感です。あなたの怒りはもっともです。ですがこの戦いは恐らく、どちらかが甚大な犠牲を支払わない限り、決して終わるものではないのです。あなたはあなたの正義を信じ、わたしたちはわたしたちの正義を信じてやるべきことをするだけです」
貴族の暴虐を正すとして、若き指揮官ジェレイドと<風の戦乙女>が率いる反乱軍と、それを治めようとする王国軍の戦いを描いたお話の第七弾。今回は、攻め込んでくるミレスデン軍と戦うために、王国軍と解放軍がベールセル軍として立ち向かうお話です。
いやあ、やってくれる!
ベールセル軍がもたもたしている間に、被害が拡大していく中、さっそうと登場して、殲滅させていくアレスの無双っぷりがたまらない。<風の戦乙女>たるミーアの助力あってこそだけど、ミレスデン軍がたった一騎に翻弄させられてく様が痛快でした。まさに一騎当千ですよね。
ただ、アレスにそんな活躍をされると困るのが、将軍フィリップで。味方であるはずなのに、民のことよりも自身の出世を企む彼の動きは、ほんと不安になるなあ。人間が小さいからたいしたことはできなそうなんだけど、なまじ権力を持っているから怖くなる。
そういえば、クラウディアの兄であるハインツ王太子が動いてたけど、何を考えてるかイマイチつかめないところが気になりますね。
さて、ミレスデン軍からしたら、たった一騎に翻弄されて、大きな損害を出してましたが、こんな秘密兵器を持っていたとは……。ここまでくると、卑怯すぎると笑うしかない。
いや、笑うという意味では、あの圧倒的存在を前にして、人の身で戦いを挑むアレスの戦いっぷりのほうか。なんだ、あれは!
ミーアという存在があったとはいえ、あんな戦いっぷりを見せられたら、そりゃ英雄視されるわけだ。
ただ、この戦いを持って、アレスの中の正義に揺らぎが生まれたのは事実でしょう。戦いが続く限りは、意識しないかもしれませんが、何かの拍子に表に出てくると、ベールセールがどうなってしまうのか……気になるばかり。
気になると言えば、朴念仁・アレスのモテモテっぷりも気になる。刺客たちはさておくとして、「彼女」が好意を示してきたら、さて、どんな反応をするのかしら?
火の国、風の国物語7 緑姫憂愁 (富士見ファンタジア文庫)
師走 トオル
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- 著:師走 トオル イラスト:光崎 瑠衣 「仕方のないことだったんです。必要な犠牲だったんです」 約二ヶ月半週間の積み。五ヶ月振りの新刊。前巻の後書きでは...








