「何て無茶なんだろう」
僕は思わず口に出していた。
「雪姫、君は何て向こう見ずで、無茶苦茶で、でたらめで、がむしゃらで、パワフルで、勇ましくて……」
凄いな。心底そう思った。
四年より前の記憶がない榮一は、両親を亡くし天涯孤独となり、遠戚が経営する白雲学園へとやってきたら、そこで霧に紛れて襲ってくる怪物<はぐれ>と遭遇し……異界へと繋がる霧を駆使して、<はぐれ>と戦う少年少女の物語。
面白い……んだけど、ちょっと引っかかるものを覚えるのは、たぶん、事が容易に進んでしまう(ように感じて)からかな。
霧使いとなって<はぐれ>と戦ううちに、どんどん成長していくんだもんなあ。もともとの才能もあるんだろうけれど、何となく苦を感じなかったので、しっくりこなったり。
とはいえ、榮一の心境の変化は、よく伝わってきました。 面倒ごとを避ける処世術のような八方美人さは、実は踏み込むのも踏み込まれるのも怖かったからで。元気あふれる体力バカの雪姫に、だんだんと感化されていくところが良かったです。誰だって弱さを抱えてるけれど、それを見せるかどうかは、本人の意識ひとつで変わるよね。
吹っ切ってからの榮一は、とてもスーパーマンな強さを見せつけてくれましたが、同じような力を持つ生徒たちとともに力を合わせて、<はぐれ>と戦う姿は、彼にとってなにが大切なのかを見せてくれたと思います。
いろいろ引っかかるところはあるんだけど、面白かった。
最後はちょっと蛇足な気がしないでもないけど、ま、続きがあるからってところかな。榮一の前に現れたのは何者か、楽しみですね。
あと、気になるところと言えば、誰がヒロインになるのかってところかしら。みんな個性豊かで、それぞれ秀でているので、誰がなってもおかしくないと思います。今後の動きに注目しようっと。
白夢 放課後の霧使い (富士見ファンタジア文庫)
瀬尾 つかさ
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