「まあ、お互いここまでせねば意地を通すこともできぬ未熟者同士と言うことか。分不相応の望みを抱いた報いだな」
「……ケイン」
二人の脳裏を過ぎるのは、特区を奪われた夜のことだった。大切なものを失い、己の無力に打ちひしがれたあの夜。あの夜を生き延びて、二人はいま、再び特区に立っているのである。
「だが、ジロー。少なくとも俺は後悔していない。お前も、そうではないのか?」
世界で唯一、人間と吸血鬼が共存する都市―「特区」。そこには、両種族の仲を取り持つもぐりの調停屋・葛城ミミコと、護衛の「銀刀」望月ジロー、その弟コタロウがいて……というBBBシリーズの最終巻です。
読んでいる最中の興奮を、読み終わった後も残る余韻を、どう表せばいいのかわかりませんが、この物語に出会えて良かったと、心から思える。ほんと素晴らしかった。
特区で繰り広げられる九龍の血統とカンパニーの戦いは、ついに最終局面を迎えたわけですが、敵味方どちらも、黒き血に恥じない姿を見せてくれるから、伝えようのない感動を覚えてしまうんだろうなあ。九龍の血統である以上、戦わねばならない運命ではあるけれど、それでも、できれば……と思わずにいられませんでした。幾度、涙をのんだことか。
吸血鬼だけでなく、人間だって負けておらず、尾根崎の「見えているか?」で、じわっとさせられてから、「乙女」からミミコとなった少女の、いつもながらの無鉄砲さと、逆転策にやられて。
激しい戦いの中、ほんのひとときだけ時が止まったように思える吸血シーンは、この繋がりを感じられたからこそ、彼女は、彼は、戦ってこれたんだなと思えるものがあって、すごく印象に残っています。
数に劣る九龍の血統は、それでも精鋭揃いだけに、幾度となく劣勢をはねのけていたけれど、たぶん、カーサが「彼」の覚悟を見てしまったときに、形成は流れが止まらなくなったんだろうなあ。
あのときのカーサの迷いと嬉しさと、でも逃れられない運命には、やりきれない思いでいっぱいでした。
迎える終局は、涙なくして読めなかった。
敵ながらあっぱれな剣舞を見せた男と、兄として妹を守って灰になった少年と、血の誇りを忘れず伝えたカーサと。
何より、戦いが終わった後のミミコの「約束」に、彼女の調停員としての姿を感じて、とても良かったです。
いやあ、面白かった。ほんとページをめくる手が止まらなかったです。
最高の物語を届けてくれたあざのさんに感謝。
愛する人とのお話は、言うまでもなく記されておりましたが、幸せな、特別な時を過ごす時間があったことに、嬉しく思いました。きっと思いは受け継がれていると、そう信じています。
超オススメ!
BLACK BLOOD BROTHERS11 ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 賢者転生― (富士見ファンタジア文庫 あ 2-3-11)
あざの 耕平
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