「この街になくなられると、せっかくお嬢様に買っていただいたメガネもなくなってしまいます。私がお嬢様の足になります。ですから、私の目になっていただけませんか?」
エルミナは驚いたように瞬きをし、それから幽かに表情を和らげたように見えた。
「……君が私の隣に傅くのなら」
精霊に対価を捧げ、異能の力を手に入れた契約者たるお嬢様のエルミナと執事・マルクが繰り広げるコミカルなシリーズの第二弾。今回は、契約の対価が還ってくるという噂をかぎつけた契約者たちが、エルミナの屋敷へとやってきて、というお話。
やばいなあ。エルミナが可愛いですよ。無表情で何考えているのかわからないのに、マルクのことは気にしてる様子にニヤリとしてしまいます。一緒に出かけたとき、マルクが(情報収集のために)美人さんと話をしていたらちょっとムクれて、マルクに似合うメガネを選んで上げたときには上機嫌になって。
執事として、あるいは雇い主としてといった建前で先に進もうとしないようですが、相手を傷つけられたときの激怒模様からしたら、どれだけ大切にしてるかはわかるってもんです。この二人の関係がほんといいんだなあ。
今回新たにやってきた刺客は、かなりの強者でしたが、何気にアイシャはかなり強いことがわかりました。いや、知ってたけど、あれほどまでとはなあ。マルクよりもふつうに強いですよね。怒らせないようにしないと。
強いと言えば、最強クラスかと思われたエミリアにも弱点があったことは意外でしたが、これもまた彼女の秘密にまつわるものがあったんですね。普通の女の子としての暮らしを思ってしまうところは、やるせないものがありましたが、そのおかげで出会えた人がいるってことも忘れてないところがエミリアのいいところですよね。
彼女が半身とも言うべき人を思って歌うシーンは、その思いと言葉が胸に響いて、沁みいるものがありました。
いやあ、おもしろかった。戦うことはあれど、契約者と言えども人であることに代わりはなく、傷ついた心を癒すことで、自分の居場所を思い出していく展開は、心温まるものがありました。こうやって仲間が増えていくのは嬉しいですね。
危険な輩が、エミリアに対して手を伸ばしてこようとしてますが、この仲間がいれば大丈夫だと、そう信じてます。
影執事マルクの迎撃 (富士見ファンタジア文庫)
手島 史詞
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