「あたし、悔しいよ!悔しくて悔しくて、悔しいよ!強くなりたい!アユムみたいに、魔装少女にならなくても戦えるようになりたい!」
「……聞いた話によると、思いっきり泣けば強くなるらしいぞ」
巷を騒がす連続殺人犯に殺されてゾンビになった高校生・相川歩が、異世界のバケモノを倒しにやってきた少女戦士ハルナによって、男なのに魔装少女に任命されて、怪物と戦うことになるお話……でいいかな。
いや、でもこれは好きな感じのお話でした。魔装少女やネクロマンサー、吸血忍者など、人間じゃないけど可愛い子が歩の周りに集まってくるんだけど、ラブコメって感じがあまりなくて、なんていうか、家族もの……というと語弊がありそうだけど、雰囲気としてはそんな感じを受けたんですよね。
語り部である歩の軽快な口調は、軽薄に感じることもあるんだけど、ゾンビになったからこそ、平穏な日常を送りたいと思ってのん気に過ごそうとするせいか、包み込むような優しさを感じるんです。
この優しさを感じたからこそ、少女たちも心を開いていったんだろうなあ。はじめは突っ張ってたハルナが、心にたまったものを吐き出すように流した涙のシーンはとても印象的でした。そのあと、ところどころで照れくさそうに見せる笑顔が良かったですよね。
言葉を発しないユーに対しても、始めは責めてしまうものの、苦しみを抱えていることに遅まきながらもに気づき、支える決意をした姿が格好良かったです。
平穏に暮らしたいといいながら、家に少女たちが共にいると、ホッとするようになっていくって、いいですね。
その間、魔装少女となって、バケモノとの戦いを繰り広げたりしてたんですが、まあそれはどちらかというとおまけかな(僕の中では)。おまけにしちゃ戦いのシーンはおおいけれど、基本ゾンビなんで死なないから、苦戦はあっても負けないし。
とはいえ、そもそも歩がゾンビとなった原因である連続殺人犯を見つけたら……という最後の戦いは面白かったかな。仲間がいるからこそ切り抜けられるってのは、熱いですよね。
最後にラスボスを逃して続きへ……というのは、興ざめなんだけど(あれで逃すか普通?)、ま、このコミカルでちょっと暖かい雰囲気の物語の続きを読めるのはうれしいので良いか。楽しみにしていたいと思います。
第20回ファンタジア大賞佳作受賞作。
これはゾンビですか?1 はい、魔装少女です (富士見ファンタジア文庫)
木村 心一
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