「さて、我々は今、なかなか大変な状況に置かれている。判るかい?」
「伊砂さん、俺たち。ひょっとして遭難したんですか?」
伊砂がにやりと笑った。
「なかなか面白い表現だね。うん、そういってもいいよ、葛城君。山での遭難者同様に、わたしたちは身動きが取れなくなった」
人を喰らう異形・狗牙と、それを狩る狗牙絶ち衆がいる。その狗牙絶ち衆のひとり、セーラー服の左腰に日本刀を差した美少女・香月と、彼女の刀を体に飲み込んでしまった少年・俊が繰り広げる刀と鞘の物語の第二弾。今回は、狗牙絶ち衆の若きものたちを集めた実戦合宿の場に、姿をあらわさぬ敵が舞い込んできて、というお話です。
訓練合宿に集められた狗牙絶ち衆たちが、ひとりずつ消されていくサスペンス展開と、指導に当たる手練れの狗牙絶ち衆が殺されたことで、班を分けて、交代で見張りに立ち、ひとりで行動してはならないという取り決めをしたにもかかわらず、殺された人たちは、ひとりで行動するのはなぜかといった謎が展開されていくから面白い。
しかも、狗牙絶ち衆たちが翻弄されていく中、力ではまるっきり役に立たない俊が、狗牙絶ち衆でないからこそ「可能性」に気づいていくところがいいですね。そのことをなかなか香月に言えないあたりの人間関係に、うふふと思ったりしましたが、よく考えたら、さっさと言っておけば、犠牲者は減ったんじゃと思わなくもない。
このあたり、引き延ばしじゃないけど、微妙に展開遅かったので、ちょっとフラストレーション溜まったかな。特に最後の夢のあたりは……。
いや、あれはあれで必要なお話なのかもしれないけど、緊張感が高まったところで、夢話が挿入されて、しかもそのせい(かどうかはわからないけど)で、話が終わってしまうんだもん。ものすごくいいところで終わりやがって……という逆恨みかもし。
どうやら続きは夏らしいので、ちょっと先になりますが、姿を現さない敵の正体は、はたして俊の予想通りなのかどうか、楽しみに待っていたいと思います。
狗牙絶ちの劔2 ―刀と鞘の物語― (富士見ファンタジア文庫)
舞阪 洸
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