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火の国、風の国物語(5) 王女勇躍 / 師走トオル

「……本気ですか、クラウディアさま」
「何をとぼけたことを。わたしが冗談を言いにわざわざ王都を抜け出してきたと思うのか?」

貴族の暴虐を正すとして、若き指揮官ジェレイドと<風の戦乙女>が率いる反乱軍と、それを治めようとする王国軍の戦いを描いたお話の第五弾。今回は、争いを終結させると決意したクラウディアが、<赤の悪魔憑き>であるアレスと共に、反乱軍の元へ向かうお話です。

いやあ、しびれる!クラウディアの思惑はなんとなくわかっていたんですが、それを実行すべく王女を守るアレスの強さとはったりが素晴らしい。敵に囲まれながら、恐れることなく、「一万でよろしいのか」と挑発したシーンは、鳥肌立ちましたよ。仕えるべく王女が傍にいるときのアレスは、ほんと恰好いいと思いました。クラウディアの策も、実は逆転していて、いやはや、この二人はほんとすごいです。これだけのことをできるのも、幼いころからの信頼関係があるからなんですよね。

今回、クラウディアの策を実現するために、反乱軍が篭城しているトゥールスレン城砦まで、アレスと行動を共にするんですがその間に、二人の出会いや、クラウディアの近侍兼護衛となった経緯、城を抜けてはアレスが怒られ、時に妬むものからの謀略を受けたりといった感じに、過去の出来事を回想するんですが、この話を読んでると、二人の信頼の厚さがよくわかります。

ほほえましい策を講じたかと思えば、幼い自身の力のなさを悔やみ。それでも前を向くことを忘れない姿には、アレスならずとも、この人ならと思うものがありますよね。まじめ一辺倒だったアレスが、彼女の柔軟な思考と行動に触れるにつれて、少しずつ変わっていき、一方のクラウディアは、過去の出来事から敬遠していた「騎士」にようやくめぐり合うことができて。

ふたりが共にした時間で育まれた思いは、鈍くて奥手なアレスは別にして、クラウディアからしたら、とてもとても大切なものだと伝わってくる。大役を果たした後、クラウディアが眠りについたのは、信頼できる人が傍にいるからだという感じが伝わってきて、微笑んでしまいました。

クラウディアが王家のものじゃなかったら出会えなかったかもしれないけど、王家じゃなかったら、二人で添い遂げることができたろうに……と思うと、悔しくてなりませんね。

いやあ、面白かった!クラウディアとアレスの二人の活躍っぷりに大満足です。さすがのジェレイドも押され気味でしたが、このままやられっぱなしはないでしょう。いや、いまさら寝首をかくことはないと思うので、北から攻め込んできたディレニアとミレスデンをどういう形で、相手取るのかというあたりで力を見せてくれると……と思ったけど、まだ国内も安定してるわけじゃないから、何ともいえないか。張本人でもあるし……。っていうか、アレスにしたって、下手しなくても、糾弾は避けられないだろうし。

ここからどういう風に物語が展開されていくのか、とても楽しみです。

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