「いま、卿には、思い人というか、恋人はいるか?」
「待ってくれ。そもそも、なんなんだ、その話は。どうして僕がそんなことを答えなくちゃならない」
ファリアは口を開いて何かを言いかけ、そのたびに口を閉じてうつむくという行為を三回ほど繰り返したあと、思い切ったように言った。
「卿はな、私の婚約者候補になった」
騎士を目指して帝都へきたものの、騎士試験を受けられなかった少年カインが、ひょんなことから皇女と知り合い、彼女の従衛となって、従衛をしながら騎士を目指すシリーズの第五弾。帝都の叛乱を治めた功労者として騎士へとなったカインは、さらにファリアの婚約者候補になり……、自分はどうしたいのか迷う中、カインの存在を面白く思わないものが動き始める、シリーズ最終巻です。
いやあ、面白かった。
騎士になるという夢を掴んだ直後に、ファリアの婚約者候補となったことで、一躍注目を浴びることになったカインですが、当然、面白く思わないものは出てくるし、さらには帝国を討たんとするグラフィアカーネが、悪魔に魂を売ったことで、カインのみならず、イングリドにまで危険が及んでと、波乱に満ち溢れてて、どうなるのかとドキドキ。
中でも一番興味津々だったのは、カインがファリアとイングリドのどちらを選ぶのかってところですね。婚約話を聞きつけたイングリドが、カインから身を引こうと考えはじめるのをみると、せめて言ってから!と思ったりしましたけど、ともあれ、騎士を目指すことしか考えていなかったカインが、自分の思いはどこにあるのだろうと考え始めて、謀略にはまって囚われの身になったところから、自分の気持ちに気づいていくところが、なんともいじらしい。
それにしても、ライタークロイスにあんな秘密があったとはなあ……。ある意味暴走だと思うけど、自分の興味のために、国すら利用するあたりは、グラフィアカーネの執念というべきかしら。
騎士たちの思い、敵でありよきライバルでもあるものの思い、そして、何より皇族としての思いが、暗躍する執念を打ち破る展開が良かったです。
ああ、これで最終巻だなんてもったいないなあ。まだまだいろんなお話を展開できただろうに……。
特にファリアとイングリドの恋のお話は、一応の決着がついたけれど……ねぇ?いや、カインが心変わりするとは思わないけど(あの告白シーンはすばらしかった)、何が起こるかわからないのが人生だし。残されたほうが、どういう恋をしていくのかは、非常に気になるだけに、もうちょっと続きを見たかった。
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- ジャラル 2008-11-23 (日) 15:47
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「俺たちの戦いはこれからだ!」
川口 士先生の次回作にご期待くださいという少年ジャンプのフレーズが頭に浮かびました(笑)。やはり敗因は流行の萌え系のイラストじゃなかった点ですかね? 正直女性キャラとか、もう少し何とかならんのかとも思いましたし。
まあ来年アニメ化の人気シリーズ『鋼殻のレギオス』の雨木シュウスケ先生も前作『マテリアルナイト』は同巻数で打ち切られていますから、めげずに川口先生も頑張って欲しいですね。







