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[鏡貴也] いつか天魔の黒ウサギ(1) 900秒の放課後

「ず、ずっと、待ってた」
「ああ」
「あ、あと五分、五分大兎が遅かったら、もう、怒って、絶対殺すって思ってたんだから!」

平凡な毎日に退屈していた鉄大兎が、事故にあって死んだとき、幼い頃ひとりの女の子との約束を思い出して……呪いにより、十五分以内に七回死なない限り生きている大兎と、彼に呪いをかけた最古の魔術師・サイトヒメアが繰り広げるラブストーリィです。と思ったけど、公式には学園リバース・ファンタジーらしい。

呪いのことを忘れていて、ふとした事故から記憶がよみがえって、いきなり協会やら軍やら悪魔やらがかかわる世界に巻き込まれて行くんですが、動揺しながらも、かつて好きだと言ってくれた女の子のために、忘れていたときを取り戻すかのように、立ちあがるところが熱かった。

またサイトメアがいいんだなあ。強気な態度を見せつつ、大兎のことが大好きで。自分が弱っていても、大兎が傍にいるときは、笑顔を忘れないその姿に惹かれるものがあります。だからこそ、大兎が傷ついたときに流す涙は、心痛むものがあるんですよね。
十五分に七回。ただの人間が悪魔を相手に立ち向かうには、決して多い命ではないけれど、あんな涙を見たら立ち上がる気持ちもわかります。

一方、もうひとりの主人公というべき、天才肌の生徒会長・紅月光も、自身の才を上回る弟を持ったが故に、平凡とかけ離れた人生を歩むことになったんですが、死が刻々と迫る中でも諦めなかった姿は、目を見張るものがありました。クールな態度が鼻につくけれど、いやいやどうして、性根は、ねぇ?命を狙ってやってきた悪魔ミライを手なずける手腕ににやり。

決して仲がいいわけじゃないふたりだけど、二人をさらに上回る敵がやってきて、しかもそれが共通の敵だったら……どうすべきかは決まってるじゃないですか!敵の敵は味方。そんな言葉がぴったりな戦いが繰り広げられる展開が面白かったです。

アクションだけでなく、恋愛要素もいろいろニヤニヤさせられるものがあって、特にエピローグではこれからどんな三角を見せてくれるのかと楽しくなっちゃうものがありまして……と油断してたら、ラスト一行でやられた。うおい、こっち側もかよ! コミカルに進むお話の中、不穏な空気も散りばめられているので、これからどんどん面白くなりそうですね。隔月で三巻まで出るようなので、続きがとても楽しみです。

いつか天魔の黒ウサギ1  900秒の放課後 (富士見ファンタジア文庫) - 鏡 貴也

いつか天魔の黒ウサギ1 900秒の放課後 (富士見ファンタジア文庫)
鏡 貴也

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