「私が気づかないとでも思ってるの?貴方は何かおかしなことを考えてる。これでも、私は貴方の智慧を買っているのよ。その貴方が、隠れもせず、この家に留まって、まるで何かを待っているみたいに……」
真正面から、アコニットは訴えるような眼差しを向けた。
「ねえ、誓護。ちゃんと教えて。貴方は何を考えているの?何をするつもりなの?」
咎人を煉獄へと送る教誨師(グリモアリス)として、地上へ降り立つ少女・アコニットと、彼女の手助けをする桃原グループの御曹司・誓護が繰り広げるファンタジーな事件簿シリーズの第五弾。今回は、罠に嵌り罪人として追い立てられたアコニットに、宿敵・鈴蘭が手を伸ばしてくるお話です。
うーん。面白いんだけど、次から次へと話が進むわりに、あっちへいったり、こっちへ来たりするせいか、どうにも「スピード感がある」というよりは、「展開が速すぎる」ようにしか見えなくて、イマイチ乗り切れませんでした。一番の不満は、誓護の策が成功しているにもかかわらず、有効に機能しているように見えないってのがアレかな。
ともあれ、アコニットに敵の手が伸び始めてくるお話なんですが、だんだんと誓護への思いが見えてきて、ニヤニヤしちゃうなあ。まあ、依存度が強くなってしまったのは、裏切りという目にあったからだと思いますが、かなりトラウマになってる様子が痛々しかったですが、今回の戦いを切り抜けたことで、また強くなっていくんでしょうか。今後の彼女の心の動きが気になるところ。
一方の誓護は、いつもの冷静さを欠くシーンが多かったようですが、自分と同じ生徒が絡んできたら、仕方ないか。しかも相手は自分の力を知っていて、自分は相手の力を知らないという状況での戦いなので、追い詰められていく緊迫感が面白かったです。それだけに、ここはもうちょっと書いて欲しかったなあ。今回そういうシーンが多くて、個人的に物足りなかったりする。
しっかしまあ、誓護ってやつは、大それたことを考えるなあ。友人のために、という言葉では表しつくせないものがあるように思いますが、そのあたりはどうなんでしょうね?ともあれ、まず第一歩は進めた……けど、別方面で一歩下がった気がする。こうなると、次巻は、誓護が冷静じゃいられなくなりそうなので、逆にアコニットが活躍しないとダメかな?
どうなるか楽しみですね。
幻想譚グリモアリスII 千の獣が吼ゆるとも (富士見ファンタジア文庫 か 7-1-2)
海冬 レイジ
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