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[あざの耕平] BLACK BLOOD BROTHERS S6―ブラック・ブラッド・ブラザーズ短編集 (6)

「悪戯……ですか?」
「そう。女には許される類の、ささやかな、悪戯です」
そう言って、エリーゼは思わせぶりにウィンクする。
「どんな質問をするかは、あなた次第ね、ミミコ先生。でも、真実はときに人を傷つける。よく考えて、この悪戯を、仕上げてみて」

世界で唯一、人間と吸血鬼が共存する都市―「特区」。そこには、両種族の仲を取り持つもぐりの調停屋・葛城ミミコと、護衛の「銀刀」望月ジロー、その弟コタロウがいて……というBBBシリーズの短編集。今回は、『月匠ゴーバン』の血統エリーゼを保護したら、彼女を暗殺者が襲ってくる連作物語が六話と、みなでお月見をする「満月の夜に」、BBB外伝の「聖域の嵐」が収録されています。

あーもう最高!
ミミコを頼ってきたエリーゼは、アリスの友人でもあるというほどの古血なんですが、特別な血筋である彼女がなぜ特区に、それもミミコを頼ってきたかというあたりに、ちょっとした謎があるんですが、さらに、特区内で吸血による殺人の疑いが係り、古来より暗殺を引き受ける血族「老牙ニザリ」までエリーゼに手を伸ばしてくるから、もうどうなるかと読む手が止まりません。

「老牙ニザリ」の手のものは、ジローですら誰かを守りながらでは、という状況かつ、セイやケインは、血族間の掟に縛られて動くに動けず、打つ手なしかと思ったときに見せたミミコの発想には、思わず拍手したくなりました。ああ、これぞ陣内の秘蔵っ子!素晴らしい。

さらには、吸血鬼と人間の素敵な愛の物語も見せてくれてやられました。朴訥な告白にはじんわりと浮かぶものがありましたよ。エリーゼのような人がいてくれたというのは、ミミコにとっても良い影響があったんじゃないかな。可愛らしい悪戯に引っかかったときのミミコの気持ちにニヤリ。

いわば中編といっても良いエリーゼ話の後の短編「満月の夜に」も素晴らしかった。みなでお月見をするというだけのお話なんですが、吸血鬼にとっての月という存在の大きさを感じつつ、みなでわいわいやる楽しさを味わい、そして好きな人への思いが胸に響いてくる展開に、やられました。あの歌を、ミミコがどれほどの思いで歌ったか、考えるだに胸に来る。

最後のBBB外伝というかアリスが登場する過去編「聖域の嵐」は、今までと違って大爆笑コメディになってました。カーサがジローに冗談で襲い掛かってるところをアリスが見てしまい……というところから、齢数百年を重ねた吸血鬼たちが、あの手この手でアリスのご機嫌を取ろうとするお話です。

アリスの笑顔に、カーサすら恐怖するんですから、どんな展開かは推して知るべしですが、まったく持って笑わせてくれます。朴念仁なジローごときでは太刀打ちできないのは当然ですけど、最後の最後でああいう言葉しか出ないところが、むしろジローらしくて微笑ましい気持ちになりますね。

そもそもアリスがここまで嫉妬した真意を知ると、ちょっと切ないものを感じますけど、それもまたひとつの思い出となって残るのでしょう。

さあ、これで残りは本編の最終巻を残すのみとなりました。いったいどういう結末を迎えるのか、楽しみに待っていたいと思います。

BLACK BLOOD BROTHERS(S)6  ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ短編集― (富士見ファンタジア文庫 (あ-2-4-6)) - あざの 耕平

BLACK BLOOD BROTHERS(S)6 ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ短編集― (富士見ファンタジア文庫 (あ-2-4-6))
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Comment:2

しーぷ 2008-10-21 (火) 22:18

まだだ、まだ終わらんよ!9巻から数えて、「本編が」あと2冊なんですよー。
次の話は、半分がすでにドラゴンマガジンで連載されていますので、Dクラッカーズ+と同じ形式で刊行されると思います。

deltazulu 2008-10-22 (水) 20:10

あれ、そうでしたっけ?勘違いしてました。延びてくれるなら、嬉しいです。ご指摘ありがとうございます。一冊一冊を楽しみにしたいと思います。

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