「何か見慣れない文字だし、図形の上に規則的に並んでる気がしたから魔法陣か何かかと思ったのに」
「魔方陣?」
「魔法の補助的な役割をする特殊な図形のこと。さらに呪文を書き加えることもある」
「いや、それは何となくイメージがわくんだけど……そっか。将棋が魔方陣か」
これは面白かった。
棋士の父と史学者の母を持つ白瀬奏が、グノスという異世界の魔法学院からやってきたというソフィーと出会ったら、グノスの王位決定戦に巻き込まれてしまうというお話なんですが、この魔法の構築が面白い。
衣食住を提供する代わりに、ソフィーがグノスの魔法を教えてくれるんですが、共通認識に若干の異なりがあることから、操るようになるまでには時間がかかるってときに、何者かに襲われてしまったので、自分なりの魔法を作り上げる必要が出てきたので、慣れ親しんだ将棋をベースに魔法を作り上げていくという構図。
自分なりの魔法といっても、好き勝手できるわけではなく、矛盾が生まれたら当然魔法は発動しないし、下手な組み立て方をしたら自爆する可能性もあるので、それなりのルールを設けなくてはならず、という制限がいい感じに決まってます。将棋盤が魔方陣に、「3八銀」「7六歩」という言葉が呪文に。そう見立てると、なるほど、魔法っぽくも見えるから不思議です。
奏は将棋をベースに魔法を構築しましたが、今回奏を襲ってきた咲は、「スタンダード::Mアウト << 火球 フラッシュ」みたいな形で、プログラムをベースに魔法を構築してるんですが、奏にしろ咲にしろ、相手が将棋、プログラムを使ってる、というところまでは見抜けても、奥深くまではわからないので、手探り状態で相手を追い詰めていく展開が、面白くて面白くて。
前半は、ソフィーと奏の異世界交流(認識すりあわせとか)が中心となる上に、ソフィーは金儲けを気にして、グノスやら魔法の話をあまりしてくれないので、ちょっと退屈……というか、テンポが感じられないんですが(でも、奏がソフィーをやり込めるところは好きだ)、魔法関係が動いてくると俄然面白くなりますね。
今回は魔法についての設定話が中心となった感があるので、話が動いてくるのは続編以降になるでしょう。ここからが面白くなりそうだと思わせてくれるシリーズ幕開けでした。
王位決定戦で敵対していた咲&ノイアとの共闘も面白かったし、だんだんとソフィーとの交流にも慣れてきて愛らしいものを感じる……ようになってきたような気がするし、ま、なんといっても、奏が楽しそうだからいいよね。たぶん、ソフィーも奏と一緒にいることで感化されてくると思うし、シリーズの行く末ともども、このコンビの行く末が楽しみです。
Hello, Magic World!
MA棋してる!(1) (富士見ファンタジア文庫 み 2-1-1)
三浦 良
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