「『嫌がらせから呪殺まで!報酬しだいで不可思議現象の相談でも何でも引き受けます。貧乏人は回れ右』
……表に、そう掲示していたはずですが」
「わかってますわよ!あの依頼する気を萎えさせる目的で置かれたとしか思えない看板でしょう?嫌でも目に入りましたわ。ですから、報酬はきちんとお渡しします。相場の倍用意して差し上げないこともありません。これで満足でして!?」
「異世界」の力を利用して「迷信的分野における種々の問題解決」を生業とする「黒き森の魔女」と疎まれる少女・シェルーナのところに、元素を解明することで発動させる魔術の信奉者である名家の令嬢マリーが、夏なのに庭を雪が多い、夜になると快音が鳴り響く屋敷をどうにかしてほしいという依頼を持ってきて、というお話。
迷信VS科学じゃないですけど、そんな非科学的なことが起こるわけがないと、高飛車お嬢様のマリーが突っかかって、それを毒舌少女シェルーナがやり返しながら、非科学的な事件を追っていくんですが、この二人のやり取りが、面白くなりそうで面白くないから、はじめはちょっとノレなかった。
でも、半分ぐらい過ぎると、シェルーナとマリーが、それぞれ抱えてるものが見えてきて、面白くなってくる。
お互いの信奉するものの違いからいがみ合っていた二人が、困難を乗り越えていくことで、だんだんと友情めいたものを作り上げていくところが、とても良かったです。ま、ふたりとも素直じゃないので、口では文句を言い合うんですけどね。
こういうところが、とてもかわいらしい。
ただ、「異界」の話がなあ。怪異を追ううちに、「異界」というこちらとは違う世界についても見えてきて、これが結構面白いんだけど、時々、ルールというか制約が、なんていうか、ご都合っぽく出てくるので、引っかかりました。話を引き伸ばすだけのようにしか思えなかったのが残念。
とはいえ、「異界」に慣れ親しみすぎた少女を、人間の世界へと送り返そうとする異界の人たちの温かい雰囲気は良かったので、このあたりと意地っ張りな少女たちの友情が見えてくるなら、続編も読んでみたいかも。
黒乙女―シュヴァルツ・メイデン― 黒き森の契約者
玖野 暮弥
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