「すでに彼女は世界のVIPだ。正体不明の『乙女』ならともかく、葛城ミミコの暗殺は、現状ではリスキー過ぎる」
「じゃあ、どうやって仕留めるっていうんだ?」
「彼女を九龍化する」
人と吸血鬼の共存を目指して、ミミコやカンパニーが新天地シンガポールで奮闘する中、『九龍の血統』がミミコを狙って動き始めて……という第三部の第二弾。
ああ、もう、最高!
中盤までは、各吸血鬼の一族と『九龍の血統』、特区で奮闘するレジスタンス、そしてミミコを代表とするカンパニーたちのの思惑や迷いなどがいろいろ見えて、誰しもが己の力を過信せず、相手の力を甘くみず、ぎりぎりの均衡のところで、戦略を練ってるところに、緊迫感とパワーゲームの面白さを感じてしまいます。まさに絶妙だ。
今回はいろんなシーンが印象に残ってますけど、中でも、吸血鬼側のお話が印象深いというか、見ごたえがあったかな。今まで、これだけの数の一族が一堂に会したことってないですよね。名前だけ出てきた人たちの姿を見れたことを嬉しく思い、古血たちによる挨拶の言葉にしびれて。そんな人たちが、ミミコへの信頼を厚くしていくところに、じんわりくるものがありました。
いまや『乙女』として、押しつぶれそうな重圧と戦いながら、日々頑張っているミミコの心のうちがわかるだけに、努力が実っていくところには、感動がとまらなかったですですが、あと一歩を踏み出せなかった吸血鬼たちの背中を押したジローの言葉も、また良かった。
「聞け!」
この心の叫びには、背筋がゾクゾクするほど興奮させられました。
この会議のスケールの大きさといい、くぁー、吸血鬼ってワイルドだぜ!とニヤニヤしながら読んでました。
いやあ、面白かった。
『九龍の血統』がミミコを狙い始めてからのカウントダウンは、一瞬の気の緩みが命取りになっていく展開で、引き込まれっぱなし。その上、やばすぎる!と思ったら、違う方面から話が切り込んできて、予想もつかない展開になっていくんだから、いやはや、恐るべしです。
最後がまた泣かせてくれるんだ。
前巻でミミコが世界に放った言葉が、吸血鬼たちの声となって返ってきたところに、涙が止まらない。
それにしても、リズとはいったいなんだろう。カーサの転化の理由やら香港での出来事が、ついに語られるっぽいので、次巻が待ち遠しくて仕方ありません。ああ、早く読みたい!
BLACK BLOOD BROTHERS9 ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 黒蛇接近―
あざの 耕平
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