「もう、忘れて」
……忘れる?
「忘れなさい。全部、忘れるの。そして、二人で、幸せに、今の生を生きて」
十代の少年少女が原因不明の昏睡状態に陥る事件が相次ぐ中、誓護の前に、教誨師なる少女が現れて……。咎人を煉獄へと送る教誨師(グリモアリス)として、地上へ降り立つ少女・アコニットと、彼女の手助けをする桃原グループの御曹司・誓護が繰り広げるファンタジーな事件簿の第四弾です。
これは面白かった。
誓護の記憶から、アコニットや教誨師のことが失われていて、しかもアコニットが始めての出会いのときのように、傲慢な態度で接してくるから、いったい何が起こったのかと、気になってしょうがない序盤でした。「眠り病」の謎についても、よりによって「ブツ」を手にしてるから、まさかと思いながらも、不安を呼び起こしてくれるし。
記憶が無くなるってのは、ほんと怖いよなあ。
教誨師やら謎の古書店員やら、軋軋が現れては、ちょっとしたヒントのようなものを置いていってくれるんだけど、見えそうで見ないから、何とももどかしいんだけど、そのヒントを元に、誓護が失われた記憶を補完していくから面白いんですよねぇ。
そして、アコニットが何に巻き込まれているかが見えてくるんですが、ずいぶん追い詰められているなあ。いったい何があって汚名を被せられたのかはわからないんですが、事態はすでに動いてて。誓護の記憶については、ほぼ予想通りでしたが、せめて巻き込まないようにと誓護を突き放そうとするアコニットの姿には、心痛むものがありました。まあ、それを簡単に受け入れるわけがないから、誓護は素敵なんだけど。
素敵といえば、軋軋が素敵でしたねぇ。誓護を認めながらも、主人としてのアコニットの意思を尊重して動き、下級官吏だからといって卑下することなく、誇りを持って行動する姿が、格好よすぎます!いやほんと、軋軋がいてくれてよかったと思いました。
いやあ、面白かった!せめて最後に一目だけでも。そう思える人がいるって素敵ですよね。
「貴方は、ばかだわ」
プライドの高い彼女の涙が、その言葉に込められた思いが、とてもよかったです。
これで誓護としても、本格的にグリモアリスたちの戦いに参戦することになってしまったわけですが、まあ、誓護の狡猾さとアコニットの力があれば、きっとなんとかなりますよね。
これからも、いのりを加えた三人の温かい雰囲気を期待してます。
幻想譚グリモアリスI されど魔刃の名のままに
海冬 レイジ
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