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[舞阪洸] 狗牙絶ちの劔(1) 刀と鞘の物語

「んじゃ、まず、俊ちゃんが玉響を体内に入れちまった件から行くがな」
俊が、いや香月も、ごくりと唾を呑んだ。
「たぶん、俊ちゃんは鞘……なんだと思う」

セーラー服の左腰に日本刀を差した美少女が、狗牙と呼ばれる狼男の種族を倒したところを目撃してしまった俊は、口封じのために刀で刺され……たはずなのに、なぜか生きており、しかも彼女の刀を体が飲み込んでしまって?というところから、始まる刀と鞘のお話です。

これは面白い。
狼男というか吸血鬼というか、そういった人を食らう狗牙を絶つために、天心無明流を修め、大のために小を殺すことを厭わないとして、サクっと剣を突きつける冷たさを見せてたのに、刀が取り戻せなくなったら、取り乱しちゃうから可愛いんだ。普段クール、ハプニングに遭遇すると、子供っぽくなるギャップが良き哉。

そんな香月の師匠の遊眞がまた一癖もふた癖もあるから面白いんだ。年上だけどちっこくて、ゴスロリ・ミニスカート・高下駄で、超長刀を振り回すお人ってだけで、どれだけ個性的かわかるような感じですが、やや性格に難があるものの、通すべき筋はきっちり通すところが、さすが師匠だなあと思いました。
まあ、傍若無人っぷりやら、何かと二人を恋人に見立ててからかってる普段の姿を見てると、難ありのほうが目立ちますけど。

で、俊の体の中に刀が入ってしまったのはなぜか、というところは、遊眞も漠然としたことしか知らず、まずは刀を取り戻すために、ふたりはなるべく同じ時間をすごす事にしようという話になっていくんですが、ラブ寄せになりそうでならない微妙なところが、すっごくもどかしく、でもちょっとお堅い香月にはこのぐらいがいいのかもというところもあったりして、良かったりする。この後の発展がすっごい楽しみ。

狗牙絶ちに関わるならと、身を守るために、俊も天心無明流を習い始めて、修行のつらさと、ひとつ到達したことによる嬉しさみたいなものが見えてくるところとか、いいですよねぇ。

そして、ついには合宿という名の実践を見学しに……というところで、まさかまさかの展開になったから驚きました。何だ、いったい何がおきたんだ?ってところで、終わるとはヒドすぎる!
続きがメチャメチャ気になってしかたありません。

狗牙絶ちの劔1  ―刀と鞘の物語―  - 舞阪 洸

狗牙絶ちの劔1 ―刀と鞘の物語―
舞阪 洸

富士見書房(文庫)
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