「うん?ええ、と……」
真摯な彼女の瞳を見返して、バーンはしばし考え込んだ。
「……つまり僕は、自分を騙しきれないような大嘘こいた時に<息吹>を吐くってこと?」
「うん、察しがいいな」
詐欺師……というよりは、ジゴロのように、女をだまくらかして生きてきたバーンが、竜の息吹を操るという、竜徒(ドラグ=ジーン)のアーティアのせいで、ひょんなことから<罪人竜の息吹>を手にしてしまい、嘘をつくと炎を吐き出す体になってしまって……というコミカルドタバタ熱血物語です。
いやあ、熱い!まさか、こんなすごい展開になるとは思いもしませんでしたよ。
一攫千金を夢見て、荒くれどもが集まる開拓辺境の地の出来事のお話なので、だまされるヤツが悪いとか、お金のためなら何でもするとか、小悪党が出てくるのはわかるんだけど、中でも軽薄さばかりが目立つバーンにはうんざり。
アーティアが、まじめに<息吹>の制御の仕方を伝えようとしているのに、むしろそれを金儲けの手段に使おうとするんだから、まったくもって、困ったもんです。いや、アーティアの修行も、どうかと思う内容だったので、気持ちはわからなくもないんですけどね。
それでも、軽薄なコミカルさとか、抗竜党必死開拓団との馬鹿馬鹿しいやりとりが、個人的に微妙に合わなくて、なかなかノリ切れない感じでした。
ただ、アーティアとの距離が、だんだんと縮まっていく様子はすっごいよかったです。特に混沌とした、いわゆる下町のようなところをふたりで訪れたときの、物珍しさあふれるアーティアの様子やそれを見守るバーンとか、酔ってグダグダになったアーティアと介抱するバーンとか見てると、何もいわないけど、伝わってくるものがあって、思わずにやりとしてしまう。
アーティアを妹のように可愛がりながら、でも対等な友人として扱う、バーンの友人の踊り子、カロリアも大人な女性の魅力たっぷりで素敵でした。
とまあ、平和なやりとりの最中、息吹を求める悪党どもの罠に、アーティアが嵌っていくところには、そういえば、この町は、そういうところだったよなあ、と理解しつつも、やるせなくなるものがありましたが、そこでバーンが立ち上がるから熱いんだ。
あの軽薄な男が、女は利用するものだと思っていた男が、心惹かれた女のために、前へ進む。生まれて初めての恋に、絶叫する。
いいじゃないか。
お馬鹿だと思ってた抗竜党必死開拓団の渋さにもやられまくりですよ。
いやあ、面白かった。後半の怒涛の展開は、もう大好き。大ピンチの時のキスシーンとか、たまりません!
これはぜひ続きを出してほしいなあ。いつか、あの人と出会える機会があってくれたら、とても嬉しいです。期待してます。
L 詐欺師フラットランドのおそらくは華麗なる伝説
坂照 鉄平
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