「……誕生日?誰のですか?」
すると。ぽかんとした表情でミオは目を丸くした。
「あれ。ネイト君、クルルの誕生日もうすぐだって知らなかった?」
触媒と詩を用いる召喚魔法・名詠式。その名詠式を学ぶ学園で、異色の夜色名詠を学ぼうとするネイトと、目標が見つからないクルーエルが出会って、成長していくお話の第六弾。今回は、本編からちょっと離れて、にぎやかな学園生活を描いた短編集でした。
収録されているのは、以下の八編です。
- クルーエルの誕生日の出来事を描く赤奏「あなたに贈る小さな黒歌」
- 宝の地図を見つけたミオ一行を描く緑奏「探せ、そいつはあたしのだ!」
- アーマーの災難な一日を描く青奏「アマデウスを超えし者」
- 男子禁制の場に女装したネイトが潜り込む白奏「花園に一番近い場所」
- 賞金が出るマラソン大会の大騒動を描く黄奏「走れ、そいつはあたしのだ!」
- カインツとイブマリーの卒業式を描く虹奏「また会う日までの夜想曲」
- クルーエルへの想いが見える禁律・夜奏「アマリリスは真夜に咲いて」
- 歴史上最も美しい声を持つ人とネイトが出会う禁律・空奏「そしてシャオの福音来たり」
ネイトとクルーエルの間に流れる空気は、ほんと素敵で、これを感じられるだけでも嬉しく思ってしまいます。クルーエルのために、何かしてあげたいと頑張るネイトが微笑ましい。クルーエルもかまってあげてるんだけど、まだ恋……とまではいかないのかなあ。ネイトの好意に、時々鈍さを発揮してくれるところが、楽しいですね。これが、年下キラーか。
同じような……といっては何だけど、カインツとイブマリーの関係もよかったなあ。意地っ張りなイブマリーから笑顔を引き出すことができるのは、彼だけだと思いました。卒業というひとつの区切りは、時に寂しいものがありますが、未来への約束を胸に前を見据える二人の関係がとても素敵でした。
最後の最後に、格好よく締めてくれて。やってくれるね、カインツ!
という具合に、ネイトとクルーエル、カインツとイブマリーといった感じに、二人の関係が描かれるところは、とてもよかったんだけど、それ以外の学園生活は、いまいち印象に残るものがなかったです。
ミオとか、先生とか、今までと違うような一面が見れて、それなりに楽しかったんだけど、ちょっと物足りなかったです。
そのあたり、ちょいとアレでしたけど、最後のほうでは、アマリリスのつぶやきや、美しき声のファウマの周囲に現れるものなど、次巻以降に動くであろう人々が見えて、いろいろ気を引かれるばかり。このあたりがどうなっていくのか楽しみですね。
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