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[雨木シュウスケ] ミキシング・ノート 鋼殻のレギオスⅧ

「レイフォンもちょっと見ない間に変わったよねぇ。いつからそんなに女たらしになったのかしら」
「ちょ、ちょっと待ってよ。隊長のこととか、全部手紙に書いたでしょ?」
なんでかわからないが、ひどく落ち着かない気持ちになってレイフォンは弁明した。
「恋人とかそんなんじゃ……それに、あの人たちだって、僕のことをそんな風に思ってるわけ……」
「それはどうかしら?」
「へ?」
「それじゃあ、あの人たちはどういう人なのか、改めて、きちんとわたしに説明してみなさい」

たくさんの女の子をはべらせてるとリーリンにいわれて、そんなことないよとレイフォンが、周囲の女の子たちについてお話をする、という前振りから始まる短編集。
フリフリ制服の喫茶店でバイトするフェリを描いた「クール・イン・ザ・カッフェ」、苦手なフェレットが寮にやってきて、というニーナの騒動を描いた「ダイアモンド・パッション」、天剣授受者の意味を知りたがったメイシェンたちに、その言葉の重みが襲い掛かる「イノセンス・ワンダー」。そして、番外編……という言い方もなんだけど、レイフォンのグレンダン時代が描かれる「なにごともないその日」が収録されてます。

いやあ、楽しかった!

何といってもいきなりフェリのウェイトレス姿を拝めたのは嬉しい限り。あの無表情さで「ご注文は」と繰り返す姿に、笑いが止まりませんでした。こういった状況へ持っていったシャーニッドに拍手!
それにしても、フェリは自分の感情の表現について、意外に思うところがあったんですねぇ。ま、これも恋する気持ちが生まれたからでしょうけど。彼女のために怒ってくれたレイフォンの気持ちを、嬉しく思った彼女が見せる笑顔を想像してにやり。

いつも真面目でクールなニーナ隊長の意外な姿が見れた「ダイアモンド・パッション」も楽しかった。フェレットに怯えるイラストにクスリとしちゃいます。いや、誰にだって苦手なものはありますよね、隊長。
そんな怯える姿だけじゃなく、ぬいぐるみを抱かないと眠れないといった可愛い一面も見れて、思わずうふふ。

そういえば、ニーナの住んでる寮内のお話が出てきたの初めてじゃなかったけ?三人しか住んでないおんぼろ寮だけど、なんかいい雰囲気でしたね。ほわわんとした寮長がお気に入り。

本編ではすっかり影が薄くなってしまいましたけど、個人的にはちょっと応援中のメイシェンが、天剣授受者について知りたがる「イノセンス・ワンダー」は……、シリアスだなあ。その前のふたつ短編が、明るいお話だっただけに、シリアスさが重い。まあ、ことはレイフォンの過去に関することだしねぇ。
直接本人に聞く勇気がないけれど、それでも諦められない。メイシェンの秘めた強い思いが見えました。

でも、印象に残ったのは、最後にさっそうと去っていったフェリなんだよなあ。ああ、なんか薄幸な少女ですね、メイシェン……。

天剣授受者になったレイフォンを、妬んだ者たちが襲うという「なにごともないその日」は、レイフォンよりも、他の天剣授受者の姿や、陛下アルシェイラについての描写が多く割かれてたかな。レイフォンに鋼糸を教えてくれたリンテンスは、もっと冷たい印象があったんだけど、思ったより人間味あふれるというか、だらしないというか、面倒くさがりというか、そんな姿にびっくり。それ以上にびっくりしたのはアルシェイラですけど。

はっきりいって最強にしか思えない強さには、どうしてくれようかと思いましたが、いずれレイフォンとの間に何が出てきたりするのかなあ。すっごい楽しみだったりする。

前作がああいう終わり方したので、どうなるかと思ったんですけど、ある意味、いいクッションですよね。各短編の間には、リーリンとのお話があって、これがまたいい感じなんだなあ。ああ、長い間一緒にいた人っていうのは、一味違った距離感がありますね。

こちらに来てからのレイフォンの女性歴にさりげない嫉妬を見せてくれてニヤリにやりですが、レイフォンが元気でよかったと、つぶやく彼女の思いが、とても心に響きました。というわけで、僕はニーナ派からリーリン派にいくことにします。ええ。

ミキシング・ノート―鋼殻のレギオス8  - 雨木 シュウスケ

ミキシング・ノート―鋼殻のレギオス8
雨木 シュウスケ

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Comment:1

ジャラル 2008-03-23 (日) 14:28

この作品もアニメ化企画が進んでいるようで、コミック版も3本角川・富士身関係コミック誌で連載されます。今回の短編は昨年ドラマCDにもなったもので、「なにごともないその日」は書き下ろしで天剣授受者時代のレイフォンが描かれていたのは良かったですね。この時から後の悲劇につながる伏線の一つがあったというのも。

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