まだミスリルは生きている。そのことを知った元ミスリルの面々が、少しずつ集結し始めたころ、テッサはアマルガムの動きに不自然なものを感じた。もしかしたら、組織構成が変化してきたのかもしれない。ならば、これは隙となるかもと、次なる戦いへと照準を合わしながら、テッサはウィスパードゆかりの地へと足を運ぶ決意をした。
一方かなめは、転々と移動させられる軟禁生活に、日に日に衰弱して……
クライマックス直前ということで、いろいろなことが明らかになってきましたねぇ。前半から中盤、中盤から後半にかけてと、物語が進むにつれて、ドキドキが止まらなくなるお話でした。
バラバラになっていたメンバーが、少しずつ集結し始めているとはいえ、そのほとんどがテッサひとりに圧し掛かってる状態なので、いったい彼女は大丈夫かと心配になりましたが、いやあ、まさか宗介が支え……というか、別の道を見せてあげるとは思わなかった。硬いだけの男が、硬いなりに冗談を言って、今までと違った考え方を示したのは、大きな成長を感じました。
汚れた手かもしれないけれど、それでも希望を捨てたくないという思いが、心にくる。
一方のかなめは、連れまわされるうちに弱っていって、さらには、例のウィスパードの力のせいで、まさか!と思うことを幾度となく見せてくれるから、心臓に悪いったらないです。しかもこれが後に響いてくるから、恐ろしい。
レナードがまた妙な具合になってるから、余計に危なっかしいったらないです。
そんな二つの勢力が遭遇したのが、ウィスパードの始まりの地であるから、運命とはこういうものなのかと思いましたねぇ。テッサと、そしてレナードが明かすウィスパードの真実は、まさかと思いながらも、なるほどカリーニンが動いたのもそういうことかと納得させられるものがありました。
積み上げてきたものを消すってのは……と思うけど、それでも、どちらの思いもわかるだけに難しいものがある。
とまあ、いろいろあったけど、このお話のクライマックスは、やっぱり、狙撃手の戦いですよね。クルツVSクルツの師匠カスパーの千メートルをはるかに超える距離での戦いは、駆け引きとタイムリミットのおかげで、緊張感ありまくり!
あの一発が見せた軌跡に、思わず涙。
いやあ、面白かった。結構な厚さがありましたが、一気読みさせられましたよ。
いろいろ見えてきたおかげで迷いも生まれてきましたが、かの者の目覚めは、更なる混乱を引き起こして、ああ、どうなっちゃうんだろう!不安で不安でたまりませんが、いや、でも、まだ涙を流せるのであれば、望みはあるのかもしれない。
次でクライマックスとのことですが(あと一巻で収まるかわからないとも言ってますが)、宗介が涙を流せるような、そんなハッピーエンドを期待したいですね。
せまるニック・オブ・タイム
賀東 招二
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