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[貴子潤一郎] 灼熱のエスクード MATERIAL GIRL

魔術師教会、教皇庁、魔族と、三つの組織から狙われ、「トリプル・クラウン」と渾名される凶悪犯罪者ブレンティス・ストリックスランドが、薫に言った。― 外国への脱出の手筈を整えてほしいと。 ふざけるなと怒鳴り返そうとしたが、トリプル・クラウンから手渡された紙片を読んだ薫は、要求を飲まざるを得なかった。
その紙片には『わしはレディ・キィの居場所を知っている』と書かれていて……

この世界と向こう側をつなぐ「ゲート」を一千年にわたり護りつづけてきた「鍵の番人」レイニーと、同じくゲートを護る教皇庁の組織「エスクード」の薫がコンビを組み、「ゲート」を封ずる唯一の存在「レディ・キィ」を捜し求めるシリーズ。
今回は、てることで「トリプル・クラウン」なる渾名をつけられるほどの凶悪犯罪者が「レディ・キィ」の情報を持っていると言い出したことで、レイニーが動き出して、というお話です。

「煉獄のエスクード(→感想)」の第二部なんだけど、「煉獄」読んでない人向けに、いろいろ解説があるので、この作品から手をつけても問題ないようになっている……のかな。前の話を知ってる身としてはよくわからないけど、ホント面白かったなあ。今までの渋さは、渋いというイメージが強かったけど、今回はコミカルさもたっぷりでした。

特にイギリスの魔術師教会から派遣されてきた見習魔術師ルーシアのワガママで、勝ち気なところにニヤケ顔が止まらなかった。他人の前だとお嬢様なのに、薫と一緒にいると、ついムキになってしまうところとか、可愛いですよね。また薫がレイニーばっかり気にするから、余計に面白く思わないルーシアが八つ当たりを、という連鎖に、ニンマリしまくり。

とまあ、コミカルなところはおいといて、トリプル・クラウンをめぐる争いが、すごかった。
三つの組織から狙われているけれど、レディ・キィの情報を持っていることを魔族は知らない。知られたらゲートを封じる前にキィを失ってしまうってことで、何とかして魔族の興味を引かないように、トリプル・クラウンを手に入れなければ、というところで生まれる駆け引きのハラハラどきどきっぷりといったら!

単なる戦いならともかく、駆け引き的なものが入ってくると、足手まといになる薫たちをつれて、レイニーが繰り広げる戦略に拍手しつつ、どんでん返しの連続に大興奮させられました。ああ、ドキドキが止まらない!

レイニーの格好よさに比べたら、薫はどうにも情けなく見えちゃうんだけど、究極の選択を突きつけられて、後悔に後悔を重ねながら、それでも前へ進もうとする姿はよかったです。こういう人だからこそ、魔族となった真澄も、なんとなく気にかけてしまうんだろうなあ。

凶悪犯罪者だと思ったトリプルクラウンの意外な感情も見えたところには、なんともやるせないものがありましたが、ルーシアの秘密が明かされて、裏で糸を引く人たちが現れて、さらには、レディ・キィの情報も見えつつあるって、状態で終わるんだから、ああ、気になる!これは続きがものすごく楽しみですね。

オススメ!

灼熱のエスクード―MATERIAL GIRL (富士見ファンタジア文庫 132-7) - 貴子 潤一郎

灼熱のエスクード―MATERIAL GIRL
貴子 潤一郎

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