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[細音啓] 全ての歌を夢見る子供たち 黄昏色の詠使い 5

意識を失ってから一週間以上が経過しているが、いまだクルーエルは回復する兆しが見えていなかった。何か役に立てないかと気ばかりが焦っていたネイトに、ある日、ティンカが告げた。このままでは限界に達する、と。 アカデミーからケルベルク研究所へ彼女を移すといわれ、側にいることを約束したネイトは、ひとりケルベルク研究所を目指そうとしたが……

異色の夜色名詠を受け継いだネイトと、目標が見つからないクルーエルが、名詠式を通じて成長していくお話の第五弾は、灰色名詠と夜色名詠の争いと、クルーエルの心に決着がつくお話でしたが……ああ、もうじわじわ涙が出て止まらない。

何も出来ない自分に歯痒さを感じているネイトの思いには、心を締め付けられるものがあって、それでもクルーエルを思って動こうとするネイトの真っ直ぐさが心にきましたね。ほんと素直にガンバレ!と応援したくなるものがありました。
ネイトだけじゃなく、クラスメイトみんなが見せてくれた思いの温かさにじんわり。

気づけば、ケルベルク研究所に、すべての人が集まってきたわけですが、ネイトたちを狙う敗者の王の思いには、後悔ばかりが伝わってきて、むしろ打ち砕いて欲しかったんだなと思える心情が切ない。

彼ばかりでなく、クルーエルの中にいるアマリリスも、同じような思いがあったのかもしれませんが、そんな大人の都合に惑わされず、一緒にいたいという純粋な思いから、ネイトの呼びかけに応じるクルーエルの姿が素敵でした。
それにしても、ネイトを思うときのクルーエルって、笑顔の印象が強いなあ。二人が一緒にいるのを見るのが好きなのは、その笑顔が見えるからかもしれません。おかえり、クルーエル。

そして、なんと言っても圧巻なのは、二人で詠う名詠式でしょう。世界も聞きほれると言わんばかりの美しく、力強い詠に、鳥肌と涙が止まらなかったです。

いやあ、面白かった。優しさと温かさに包まれる終わり方に大満足です。
これで「Episode 1」が終了とのことですが、最後のほうにまたいろいろと動きがあったので、このあたりがどう動いてくるのか、「Episode 2」が楽しみですね。その前に短編集が登場するようなので(ほのぼの学園ものが盛りだくさんらしい)、こちらも大いに期待したいと思います。

全ての歌を夢見る子供たち (富士見ファンタジア文庫 174-5 黄昏色の詠使い 5) - 細音 啓

全ての歌を夢見る子供たち 黄昏色の詠使い 5
細音 啓

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