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[榊一郎] 或る異生物使いのこと ディスパレイト!1

仕事をクビになり、馴染みの店でクダを巻いていたら、そこで知り合った興信所の所長のトルクに、家を燃やされてしまった。ディスパレイトの暴走だからって、それはないだろう!文句を言おうとしたら、彼の妹であるというテレスに、うちで働きませんかと言われ、テレスの真っ直ぐな視線と、新しい職と住み込みという誘惑に勝てず、エニーネは、ランドリュース興信所に就職する事になった。
が、事務所へ行ってみたら、そこには異界の生命体のディスパレイトが、たくさん生息していて……

存在するだけで周囲の物理法則を捻じ曲げてしまうという異界の生命体ディスパレイトを用いて、よろず揉め事を解決するランドリュース興信所に就職したエニーネが、のんきな所長トルクと、可愛いけどディスパレイトおたくなテレスを相手に、日夜ドタバタを繰り広げるお話です。

いやあ、楽しい。職を失い、家を失いと、悲劇なはずなのに、コミカルに見えてしまうエニーナのリアクションが素敵です。運よく(悪く?)新たな職と住む家を見つけたものの、ディスパレイトを苦手としているエニーナからしたら、住居にディスパレイト水槽があるなんて、大変だよなあと思いながら、彼女の苦難を楽しんでました。
ま、事務所にいるディスパレイトたちは、何かと騒動を引き起こしてくれるので、苦手とか悠長なこと言ってる暇は無いですけど。

トルクとテレスのマイペースっぷりには、幾度となく振り回されていたエレーナでしたが、仕事を通じて、距離を縮めていくところは良かったですね。食事ひとつで何と家族なものを感じたことか。素直じゃないけれど、こういう気遣いとか、とても素敵ですし、間違っていたことはきっちりと過ちを認めるところもいいですよね。
毛嫌いしていたディスパレイトを見つめなおしていくところに、彼女のまっすぐな思いを感じました。こうなると「ぱぽぅ」と鳴くディスパレイトが、だんだん可愛くなってくるから不思議。

とまあ、楽しさと温かさが見える物語なんですが、前シリーズ「ディスパレイト!コンプ(→感想)」のシリアスなところも、ところどころに出てきます。ああ、そうだよなあ、あんな有能な人たちを放って置くわけないよなあ。

あのトルクとテレスが笑って過ごせるなんて、それだけで嬉しくなってしまうのに、かの人は放っておいてくれないみたいだから、何とも不安。

さりげなくギルクリストも出てきてましたけど、ちょっと捻くれてはいますが、これなら、たぶん、トルク側に来てくれます……よね?強敵とかいて友と呼ぶみたいな感じになってくれれば、かの人の手が伸びてきても、何とかなると思うんですが……、さてさてどうなることやら。

或る異生物使いのこと ディスパレイト! 1 - 榊 一郎

或る異生物使いのこと ディスパレイト! 1
榊 一郎

富士見書房(文庫)
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