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[あざの耕平] BLACK BLOOD BROTHERS S5―ブラック・ブラッド・ブラザーズ短編集 (5)

経済特別解放区―通称「特区」。そこは、世界で唯一、人間と吸血鬼が共存する都市。両種族の仲を取り持つカンパニーの活躍によって、特区の平和は保たれているが、カンパニーとて完璧ではない。少なからぬ弱者を切り捨てねばならぬこともある。そんなカンパニーの守護を得ることの叶わぬ者に救いの手を差し伸べたのは、カンパニーを追放されたもぐりの調停屋で……

前短編集で、数々の過ちを犯したミミコが、今度はちゃんと頑張ろうと、旧市外区(オールド・ヤード)に事務所を構えたら、まさかの大忙し状態になって、というところから始まる短編集です。

閑古鳥……どころか、親子喧嘩や迷子の猫探しなど、スケールは小さいけれど、やたら大変な仕事ばかりで、解決しても報酬なんて誰も払わないという第一話。ミミコがスーツとサングラスを取り出したときには、爆笑しちゃいましたけど、初報酬をもらったときのエピソードで締めてくれるところが、やってくれる!
こういう人たちの集まりだからこそ、みなが信頼を寄せてきてくれるんだよねぇ。

第二話で、コタロウが「本部基地防衛部」(留守番)を負かされたとき、ちょっとしたことから、サキたちがお手伝いしたとき、街の人の言葉が、とても温かいものがありました。いや、サキたちは大変でしたけどね。っていうか、コタロウ。おまえってやつは、なんとコキ使うのがうまいんだ……。

第一話がミミコ、第二話はコタロウが主となれば、第三話は当然ジローのお話。ただの人間が、剣でジローと勝負したいとは、なんと変わり者だと思ったら、ああ、そういう過去があったのか……。ある意味、一族の夢、みたいなものがありますね。
インターミッションでの男の言葉が、とても胸に残る。あんな話を子供のころから聞かされたら……そりゃ、会ってみたくなりますよ。うんうん。

とまあ、ちょっとシリアス(?)風味のあとの第四話が、最高にコミカルでした。月に一度、ジローにご褒美を上げていたミミコのことを、周がからかったら……ジローが灰になりそうになるまで、二人の言い合いが続くんだから、笑いが止まらないったらない。
ジローの災難はともかくとして、本気でケンカできる相手がいるとは、喜ばしいことですね。

そして最後は、いつもどおりの番外編。収録されている短編が四編しかないことから、その分、番外編がちょっぴり長い。第二次世界大戦後の混乱の時期を、世界各地にいる名のある吸血鬼たちの姿とともに語られるお話。時代の移り変わりに、ついていく者、取り残される者、いろいろな生き方に、何とも言えない気持ちになる。なんだろう、ノスタルジー?
ああ、なんか、この番外編は、まとめて一冊で読みたいなと、そう思いました。

あー、面白かった。そうそう。どうやら、ミミコたちが活躍する短編集は、次で終わりだそうです。前作のような連作短編で、シリアスなものになるんだとか。終わりが近づくのは、さびしい限りですが、きっと素敵な物語を見せてくれるでしょうね。期待して待っていたいと思います。

BLACK BLOOD BROTHERS S 5 - あざの 耕平

BLACK BLOOD BROTHERS S 5
あざの 耕平

富士見書房(文庫)
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Comment:2

ジャラル 2008-02-24 (日) 14:51

番外のクロニクル編も今回で一気に香港返還まで来ました。 本編ではお亡くなりになった人、敵になった人、今回初登場の人も出てきました。個人的にはジローさんの元婚約者のお婆さんの所が気に入りました。彼女も波乱万丈ながら幸せな生涯を送ったようで、ジローさんも一安心かな? 次回の短編集ではいといよ九龍の血族誕生とカーサの離反編かな?

deltazulu 2008-03-11 (火) 10:01

> 個人的にはジローさんの元婚約者のお婆さんの所が気に入りました。
激しく同意です。ああ良かったと心から思えました。

次で結末を迎えるらしいので、どうなるのかとても楽しみですね。

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