反乱軍が近づいてきているという。訓練を受けた兵に比べれば劣るとはわかっていても、数の差に不安がよぎるが、ここはトゥールスレン城砦。鉄壁と二つ名を与えられるほどの城壁を陥落させたものはいない。ならば王国軍の援軍がくるまで耐えればいいのだと、責任者たるルヘルド男爵は思った。
だが、頼みの綱の城壁は、戦の開始直後に崩された。たったひとりの少女・<風の戦乙女>によって……
貴族の暴虐を正すとして、若き指揮官ジェレイドと<風の戦乙女>が率いる反乱軍と、治めようとする王国軍の戦いを描いたお話の第二弾。今回は不落として名高い城砦を手にした反乱軍が、王国軍と正面から激突するお話です。
すばらしい。この智謀と力と尽くした戦いの面白さに大興奮でしたよ。
数は反乱軍が上でも、質は王国軍の方が上。そんな状態で、ぶつかり合ったらどちらが不利になるのかは、指揮官が一番良くわかっていると思いますが、勝つために、弱さを切り捨てて立ち向かおうとする反乱軍の指揮官ジェレイドの智謀に、背筋がゾクリとすることが幾度あったか。
ここに「力」として、巨大な黒魔法を操る<風の戦乙女>が加わるんだから、そりゃ快進撃を続けるわけだ。
一方の王国軍は、多少の驕りはあるものの、力を感じられるだけに、アレスをはじこうとする動きがあるのが、なんともやるせない。よりによって、あの大事なときに……ってのは、いくら将軍でも私欲が過ぎるというかなんと言うか。まあ、そのおかげで、王女とのやり取りが見れたのは嬉しかったですけど。あー、もう素敵なツンデレさん。
ただ、アレスの気持ちも、王女の気持ちもわかるだけに、彼女の立場が生み出した現実が切なくなりますね。このあたりは、今後アレスにとって大きな壁を生み出しそうな気がするんだけど、さてどうなるのかしら。
ともあれ、反乱軍改め解放軍と、王国軍がぶつかり合うわけですが……やられた。まさか、ここまで狡猾な策を練っていたとは!「相手が見たいものを見せる」のは、こういった謀略の要だと思うけど、こうも見事に踊らされるとは思いませんでしたよ。ジェレイドの智謀に舌を巻くばかり。
ですが、アレスも負けていなかった。どちらかというと、知の人ではないけれど、戦に関していえば、知と力の両方を備えていると言ってもいいんじゃないかしら。助言者たるパンドラの力があったとはいえ、敵を食い止めるために、ただひとりで立ち向かう<赤の悪魔憑き>の存在感の大きさには、痺れました。
いやあ、面白かった。文句なしでオススメ。
今回の戦いでは、ひとまず片方に軍配が上がったように思うけど、一方的ではないし、どちらの軍も強き者と同じぐらい爆弾も抱えてるので、何かあったら一気に近郊が崩れそうという緊迫感がたまらないです。解放軍と王国軍の知と力の均衡の絶妙さに拍手してくなりました。
今後の展開がまるで読めないだけに、続きがとても楽しみです。
火の国、風の国物語 (2)
師走 トオル
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Comment:2
- ジャラル 2008-01-20 (日) 14:27
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今回は王国軍にドワーフがいるなら。こちらは~とエルフの武将が反乱軍に加わりましたね。やはり、この世界でもエルフとドワーフは仲が悪いのかな? だとすると王国の従者ドワーフとの対決が見物ですね。
一方、王国軍は・・・「前方の偉大な敵よりも後方の無能な味方の方が憎い」という田中芳樹先生の作品の言葉がピッタリの展開に(笑)。
「戦争は始めるのは簡単だが、終わらせるのは難しい」という言葉がありますが、この戦争,隣国侵略がある前にどう終わらせるか、次巻あたりで結末見えてきそうで楽しみです。
- deltazulu 2008-01-22 (火) 19:59
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エルフとドワーフの関係なんて、まるで考えてませんでしたが、種族間の問題はあるかもしれませんね。今後はそのあたりも注目していきたいです。
> 一方の王国軍は……
田中芳樹作品を知ってると、ところどころニヤリとさせられるものがありますよね(笑)
今後どういう展開になっていくのかとても楽しみです。





