Home > ライトノベル > 火の国、風の国物語(2) 風焔相撃 / 師走トオル

火の国、風の国物語(2) 風焔相撃 / 師走トオル

反乱軍が近づいてきているという。訓練を受けた兵に比べれば劣るとはわかっていても、数の差に不安がよぎるが、ここはトゥールスレン城砦。鉄壁と二つ名を与えられるほどの城壁を陥落させたものはいない。ならば王国軍の援軍がくるまで耐えればいいのだと、責任者たるルヘルド男爵は思った。
だが、頼みの綱の城壁は、戦の開始直後に崩された。たったひとりの少女・<風の戦乙女>によって……

貴族の暴虐を正すとして、若き指揮官ジェレイドと<風の戦乙女>が率いる反乱軍と、治めようとする王国軍の戦いを描いたお話の第二弾。今回は不落として名高い城砦を手にした反乱軍が、王国軍と正面から激突するお話です。

すばらしい。この智謀と力と尽くした戦いの面白さに大興奮でしたよ。
数は反乱軍が上でも、質は王国軍の方が上。そんな状態で、ぶつかり合ったらどちらが不利になるのかは、指揮官が一番良くわかっていると思いますが、勝つために、弱さを切り捨てて立ち向かおうとする反乱軍の指揮官ジェレイドの智謀に、背筋がゾクリとすることが幾度あったか。
ここに「力」として、巨大な黒魔法を操る<風の戦乙女>が加わるんだから、そりゃ快進撃を続けるわけだ。

一方の王国軍は、多少の驕りはあるものの、力を感じられるだけに、アレスをはじこうとする動きがあるのが、なんともやるせない。よりによって、あの大事なときに……ってのは、いくら将軍でも私欲が過ぎるというかなんと言うか。まあ、そのおかげで、王女とのやり取りが見れたのは嬉しかったですけど。あー、もう素敵なツンデレさん。

ただ、アレスの気持ちも、王女の気持ちもわかるだけに、彼女の立場が生み出した現実が切なくなりますね。このあたりは、今後アレスにとって大きな壁を生み出しそうな気がするんだけど、さてどうなるのかしら。

ともあれ、反乱軍改め解放軍と、王国軍がぶつかり合うわけですが……やられた。まさか、ここまで狡猾な策を練っていたとは!「相手が見たいものを見せる」のは、こういった謀略の要だと思うけど、こうも見事に踊らされるとは思いませんでしたよ。ジェレイドの智謀に舌を巻くばかり。

ですが、アレスも負けていなかった。どちらかというと、知の人ではないけれど、戦に関していえば、知と力の両方を備えていると言ってもいいんじゃないかしら。助言者たるパンドラの力があったとはいえ、敵を食い止めるために、ただひとりで立ち向かう<赤の悪魔憑き>の存在感の大きさには、痺れました。

いやあ、面白かった。文句なしでオススメ。 今回の戦いでは、ひとまず片方に軍配が上がったように思うけど、一方的ではないし、どちらの軍も強き者と同じぐらい爆弾も抱えてるので、何かあったら一気に近郊が崩れそうという緊迫感がたまらないです。解放軍と王国軍の知と力の均衡の絶妙さに拍手してくなりました。
今後の展開がまるで読めないだけに、続きがとても楽しみです。

火の国、風の国物語〈2〉風焔相撃 (富士見ファンタジア文庫) - 師走 トオル

火の国、風の国物語 (2)
師走 トオル

富士見書房(文庫)
Amazon | bk1


関連エントリー
[師走トオル] [火の国、風の国物語感想一覧] [富士見ファンタジア文庫] [ライトノベル]

Home > ライトノベル > 火の国、風の国物語(2) 風焔相撃 / 師走トオル

Trackback:0

TrackBack URL for this entry
http://www.booklines.net/mt/mt-tb-t.cgi/2199
Listed below are links to weblogs that reference
火の国、風の国物語(2) 風焔相撃 / 師走トオル from booklines.net

Comment:2

ジャラル 2008-01-20 (日) 14:27

今回は王国軍にドワーフがいるなら。こちらは~とエルフの武将が反乱軍に加わりましたね。やはり、この世界でもエルフとドワーフは仲が悪いのかな? だとすると王国の従者ドワーフとの対決が見物ですね。
一方、王国軍は・・・「前方の偉大な敵よりも後方の無能な味方の方が憎い」という田中芳樹先生の作品の言葉がピッタリの展開に(笑)。
「戦争は始めるのは簡単だが、終わらせるのは難しい」という言葉がありますが、この戦争,隣国侵略がある前にどう終わらせるか、次巻あたりで結末見えてきそうで楽しみです。

deltazulu 2008-01-22 (火) 19:59

エルフとドワーフの関係なんて、まるで考えてませんでしたが、種族間の問題はあるかもしれませんね。今後はそのあたりも注目していきたいです。

> 一方の王国軍は……
田中芳樹作品を知ってると、ところどころニヤリとさせられるものがありますよね(笑)
今後どういう展開になっていくのかとても楽しみです。

Comment Form
Remember personal info

Home > ライトノベル > 火の国、風の国物語(2) 風焔相撃 / 師走トオル

Search
お気に入り

異形の王子と毒を吐く少女の恋の物語

4048700588

他人を寄せつけぬ毒を載せた言葉を吐いていた少女が、王子と伝承と出会ったことで、信じる思いを紡ぐようになる、その祈るような思いに涙しました。懐かしき人たちとの再会もまた素敵。→感想


それは血の繋がらない家族の物語。

4048700480

大きな山や谷があるようなお話しではないんだけれど、クセのある七人のきょうだいが共に暮らすその家には、じんわり温かい家庭がありました。それぞれ抱えているものはあるけれど、この家族ならきっと支え合いながら乗り越えてくれると信じてる→感想


それは「夢利き」が語る人の夢の物語。

夢の上(1) 翠輝晶・蒼輝晶 多崎礼

最高傑作級!辛くとも好きな人と共に歩める幸せ、あるいは人の夢に乗る幸せと切なさ。独立しながら、リンクする物語は、温かさに、人を想う気持ちに満ちあふれて、胸が熱くなる。人が人と出会うことの素晴らしさは、時に眩しくもあり、切なくもなるんだなと思いました。→感想


江戸時代。新たな暦を作る偉業を成し遂げた渋川春海の物語。

天地明察

最高傑作!碁打ちであり、算術家でもある男が、打ちのめされ挫折して挫折して挫折して、でも夢を忘れられず、立ち向かう姿に、どれほど興奮させられたか、泣かされたことか!さりげなく描かれる恋も素晴らしく、読み終わりたくないとこれほど思った作品はありません。 → 感想


左遷された北嶺で隠居生活を堪能しようとした史官ヤエトの前に、皇女が太守としてやってくるお話。

翼の帰る処 上 (1) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-1)翼の帰る処 下 (3) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-2)

中間管理職的苦労に悩まされるヤエトの姿がとても楽しいですが、それだけじゃなく、北嶺と帝国の歴史的秘密が見えてくる展開に興味を惹かれること請け合い!超オススメです!→上巻感想 / 下巻感想


普通の社会人であるこかげが、異世界の騒動に巻き込まれるお話。

wonder wonderful 上wonder wonderful 下

やさしさで涙する物語でした。あ、もう最高!王宮話やら恋愛要素やらも非常に楽しく、読み進めるにつれてゴロゴロ転がりまわりたくなること必至です!今年一番のオススメ!→感想 上/ 感想 下

なかのひと

Page Top