どうすれば神具がもどるのかはわからない。わからないなら、今は国に帰ることが先決だとして、大陸最南端の国、エピドシスからの長い旅路が始まった。敵がどこに潜んでいるかわからず、また神の存在を否定する国リゼリルも近くにあり、油断ができない状況が続いた。そんなとき、砂漠を歩いていた一行に砂嵐が襲い掛かり、ルビーウルフとエミリエンヌは、他の連中とはぐれてしまい……
狼と盗賊に育てられた王女ルビーウルフの冒険の完結編。奪われた神具を追いかけ訪れた大陸最南端の場所から、各国の王家の血と名を継ぐものたちが、帰路の途へつくお話です。
ああ、よかった。素晴らしい完結編でした。国どころかこの世界の生い立ちまでもが見えてくる展開でしたが、神をも包みこむルビーウルフのまっすぐさが温かかった。狼たちや周囲の人々、特にジェイドとの関係が、彼女の心を支えてくれたからこそ、生まれた気持ちがとても素敵。
今回の旅路で一番いい味出してくれたのは、エミリエンヌでしたね。慣れない砂漠の道を歩みながら、わがまま放題なのは、好きな人の気を引くためとは、なんといじらしい。また思い人も同じようなことしてたおかげで、拗れちゃうところが微笑ましい限り。
はじめはルビーウルフを気に入らなかったのに、一緒に旅をするうちに、少しずつ心を開いてくれて、好きな人のことで代わりに泣いてくれる姿が印象的でした。ああ、ここに友がいてくれる。そんな温かさがありました。
そして気になっていた恋愛問題。
ジェイドの気持ちははっきりしてたけど、ルビーはどうかと思っていたら、まさか、あんな悲劇が待ち受けているとは……。ああいう出来事があったからこそ、自覚できたのかもしれませんが、遅すぎたという事実を思うと、胸が苦しくなる。あのとき笑顔で「もし気が向いたら……」と告げた彼女の思いが切なく、それだけに届いたときの嬉しさがたまらなかった。
ちょっと都合いいかもと思わなくもないけど、泣けなかった彼女が涙を流せたことと、その涙をぬぐってくれる人がいることに、幸せな思いが伝わってくる。
最後がまた素敵でした。思いを継いでくれる人がいてくれる嬉しさと、そんな人たちに囲まれている楽しさが伝わってくるようです。
「やっと、行けそうな気がする」
そう思えるようになったルビーウルフの姿に、じわり。
これで終わりとはなんとも寂しい限りですが、次なる物語でまた出会えるのを楽しみにしています。
紅牙のルビーウルフ 6 (6)
淡路 帆希
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