においでトリップするクスリに弟がハマって、もう二週間も戻って来ない―蘭子と彼女に相談を持ちかけられた歩美は、ふと昔、じぶんたちの学校でカプセル絡みのトラブルシューティングをやっていた先輩の話を思い出した。連絡先を調べたところ、既に卒業していたものの、大学でも同じようなことをやっているという久美子と名乗った女子大生と、「アロマ」なるドラッグを追いかけることになったが……
Dクラッカーズの本編が始まるちょっと前から、1巻の序盤、セルネットの手が景の元に伸びてきたあたりまでを主に景の視点から描いた「雨中―rainy-rainy―」「雲天―be cloud―」「落日―to the night―」と、大学生となった梓たちが、カプセルに似た騒動を追う「妖香―aroma―」「世界―after kingdom―」という短編集……というよりは、本編の「直前」と「その後」が書かれた中編といったほうがいいですね。
いやあ、面白かった。なんといっても、その後のストーリィが良かったです。「アロマ」と呼ばれる匂いをかぐ事でトリップするドラッグにハマってしまったという弟を心配する姉とその友人の頼みで、実践捜査研究会が潜入捜査を行なうお話なんですが、既に梓たちは高校を卒業しているのに、実践操作研究会って……と思っていたら、意志を継いでくれた人たちがいたんですね。家出三人娘の成長した姿に、じーんときちゃいましたよ。
「アロマ」がただのドラッグではなく、カプセルの再来かもしれないと臭ってくるところでは、久美子じゃ荷が重いんじゃないかと思っていたんですが、こういうとき、出てきてくれるから嬉しく思います。事件の真相と関係者の心境に悩みながらも、最善を尽くす相変わらずな千絵の姿を見たときには、辛さもわかるんだけど、ホッとするものもありました。
彼女たちがいてくれるだけで、事件の解決は目前と思うほどリラックスする久美子たちの心境がとてもよくわかるなあ。
水原の裏方仕事やウィザードの活躍もいいけれど、一番興奮させられたのは、狂犬 VS ウィザードでしょう。ただ対峙しているだけで、なんとワクワクさせてくれることか。思わず喉を鳴らしてしまう魅力に引き込まれるばかり。
それにしても、甲斐は悪党の道を順調に歩んでるようですが、未だ茜のことを気にしてるんですね。ニヤリ。
そのあとのクリスマスを祝うお話には、頬の緩みを抑えられませんでした。例のカラオケボックスがまだあることを嬉しく思ったり、変わらぬ人間関係に温かさを感じたり。良かったなあ。
個人的には、梓と景はどうなったのかが一番興味を引くところだったんですが、水原やら千絵がチラチラと明かしてくれるたわいもないお話だけで、きゃーとなってしまいます。ああ、でも物足りない!「ハリウッドのホテルで景と梓が張り込みしたお話」と「ハロウィンのときのグリフィス天文台の一件」で何があったのか、気になってしょうがないです。その話をぜひ読みたいと思ったのは、僕だけじゃないですよね?
「直前」のお話では、昔に思いを馳せて懐かしいと思う気持ちすら振り払おうとする景の姿が、切なかっただけに(それもまたいいんですけど)、友と愛する人という温かさを手に入れることができた「その後」のお話に大満足でした。
「プラス」の表紙イラストも、二人の距離が伺えてニヤリです。
あー、面白かった。毎月連続刊行されると聞いたときには、ちょっと驚きましたが、読み始めたら、毎月発売日が楽しみで楽しみで仕方ありませんでした。ほんと幸せな一時でした。
こんな面白い作品を見逃すなんてもったいないので、Dクラッカーズシリーズを読んだことがない人はぜひ!
Dクラッカーズ+プラス―世界-after kingdom-
あざの 耕平
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