Home > ライトノベル > [瀬尾つかさ] クジラのソラ 04

[瀬尾つかさ] クジラのソラ 04

アリスの兄の計画は巧妙だった。アリスを守るために、他の犠牲を考えなかったのだろう。命を懸けた行動は、たしかに彼女を安全なところへと押しやったが、犠牲は大きかった。取り乱したアリス、呆然とする聖一を目の当たりにした冬湖は、ひとつの決心をした。アウターシンガーには、もうひとつ上の段階がある。そこへ辿りつければきっと……。そして彼女は言った。
「ごめんなさい。冬湖は雫との約束を守れません。ばいばい……」

一チーム三人のプレイヤで 256隻の艦隊を操り戦う戦略「ゲーム」。圧倒的力量で世界を制した兄の恭介を追うために、雫が冬湖、智香という仲間を引き連れて、世界へと躍り出たら、ゲームよりもはるかに深刻な事情が待ち受けていて、というシリーズの最終巻です。

いやあ、面白かった。雫という女の子の魅力が、前面に出てましたね。失意から無気力に陥ったものの、仲間の励ましや、協力してくれた人たちの温かさ、さらに巻き込んでしまった人への責任感から、立ち直っていく姿が素敵でした。特に吹っ切ってからの強引な行動は素晴らしい。思わず笑ってしまいましたが、無茶苦茶でありながらも、相手を思う気持ちが伝わってくるんですよね。こういう人の言葉だからこそ、人は動かされるんだろうなと思いました。
何も考えていないような智香が、またすごいことやってくれるんですよね。さりげない仲間の後押しが、またひとつ、気持ちを盛り上げてくれます。

冬湖の気持ちもわかるけれど、それ以上に、彼女を心配する人たちがいて。だからこそ、みなが力を合わせることができて。

冬湖の側についた兄・恭介との戦いも熱いものがありましたが、それ以上に、冬湖を説得すべく出向いてからのゲームにしびれました。圧倒的強さを手に入れた冬湖を相手に、そこまで冷静でいられるなんて!仲間だったからこそ、親愛している人だからこそ、本気で、全力で相手をする姿に、思わず涙が出てくる。

ここで終わっても十分なものがありましたが、さらにさらに盛り上げてくれるとは、やってくれますね。絶望が見える中、世界中が、彼女の言葉に奮起した展開に鳥肌もんです。
それだけに、あそこであっさり終わってしまうのは、ちょっと物足りないものがあるんですが、仲間の素晴らしさを、魅せてくれるお話に大満足。

これで終わってしまうとはさびしい限りですが、次なるお話で、また素敵なお話を期待してます。

クジラのソラ 4 (4)  - 瀬尾 つかさ

クジラのソラ(4)
瀬尾 つかさ

富士見書房(文庫)
Amazon | bk1


関連エントリー
[瀬尾つかさ] [クジラのソラ感想一覧] [富士見ファンタジア文庫] [ライトノベル]

Home > ライトノベル > [瀬尾つかさ] クジラのソラ 04

Trackback:2

TrackBack URL for this entry
http://www.booklines.net/mt/mt-tb-t.cgi/2072
Listed below are links to weblogs that reference
[瀬尾つかさ] クジラのソラ 04 from booklines.net
クジラのソラ(4) from Alles ist im Wandel 2007-11-21 (水) 17:09
クジラのソラ 4 (4) (富士見ファンタジア文庫 159-5)瀬尾 つかさ 富士見書房 2007-11売り上げランキング : 142Amazonで詳し...
クジラのソラ 04 from MOMENTS 2007-11-23 (金) 21:07
失ったものを取り戻すために 不条理を理不尽で殴りつける 雫のラストゲーム! アリスの兄・アーサーが仕掛けた罠は巧妙にして悪質。地球人類すべてに、伏せ...

Comment:0

Comment Form
Remember personal info

Home > ライトノベル > [瀬尾つかさ] クジラのソラ 04

Search
お気に入り

江戸時代。新たな暦を作る偉業を成し遂げた渋川春海の物語。

天地明察

最高傑作!碁打ちであり、算術家でもある男が、打ちのめされ挫折して挫折して挫折して、でも夢を忘れられず、立ち向かう姿に、どれほど興奮させられたか、泣かされたことか!さりげなく描かれる恋も素晴らしく、読み終わりたくないとこれほど思った作品はありません。 → 感想


一通の自殺予告メールが引き起こすノンストップ・サスペンス。

15×24 link1 (集英社スーパーダッシュ文庫 し 5-1) - 新城 カズマ15×24 link2 (集英社スーパーダッシュ文庫 し 5-2) - 新城 カズマ15×24 link three 裏切者! (集英社スーパーダッシュ文庫) - 新城 カズマ

メールを受け取った人たちが、自殺を止めるために動き回る群像劇。様々な推測によって近づく人もいれば、遠ざかる人もいて、スピード感抜群なうえに、予想もつかない展開が待ち受けているから面白い。毎度引きが強烈なので、どこまでも追いかけたくなる物語です。 → 感想


まさかこんな素敵な青春物語が読めるなんて!

電波女と青春男 (電撃文庫)電波女と青春男〈2〉 (電撃文庫)

甘酸っぱく、時に遣りきれない思いに苛つくこともあるけど、高いところから飛んでしまうような青春模様が素敵でした。笑いも沢山あるし、ほんと面白かった。とてもオススメ。→ 感想


聡明であるが故に孤独な少女プルーデンスと、蒼い衣をまとった名無しの吟遊詩人が、鳥の塔に至る迷宮の謎に挑むファンタジー

鳥は星形の庭におりる (講談社X文庫―ホワイトハート)

世界観といい雰囲気といいハマりまくりです。知識を持つが故に、両親や兄から疎まれて、家族といても孤独を感じていた少女なんですが、それをぐっと堪えて、誇り高さを忘れない姿勢が素敵でした。続きが出てくれると最高に嬉しいです。→感想


左遷された北嶺で隠居生活を堪能しようとした史官ヤエトの前に、皇女が太守としてやってくるお話。

翼の帰る処 上 (1) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-1)翼の帰る処 下 (3) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-2)

中間管理職的苦労に悩まされるヤエトの姿がとても楽しいですが、それだけじゃなく、北嶺と帝国の歴史的秘密が見えてくる展開に興味を惹かれること請け合い!超オススメです!→上巻感想 / 下巻感想


普通の社会人であるこかげが、異世界の騒動に巻き込まれるお話。

wonder wonderful 上wonder wonderful 下

やさしさで涙する物語でした。あ、もう最高!王宮話やら恋愛要素やらも非常に楽しく、読み進めるにつれてゴロゴロ転がりまわりたくなること必至です!今年一番のオススメ!→感想 上/ 感想 下


十八番目の皇女という立場から、何も手にすることができなかった月華が、心の内に「龍」を飼う涼狐の剣舞に惚れて、剣を手にする中華風ファンタジーのボーイ・ミーツ・ガール。

DRAGONBUSTER 1 (1) (電撃文庫 あ 8-13 龍盤七朝)

淡々と語られている物語だと思っていたのに、気づけば引き込まれています。溜め込んだエネルギーが、次なる巻で爆発してくれることでしょう。背筋がゾクゾクするほど、楽しみでなりません。→感想

なかのひと

Page Top