行けばもう会えない。もう二度と。共に戦った戦友にも。笑い合った仲間にも。思いを告げた人にも。もう二度と会うことは叶わない。だが、行くしかない。そしてウィザードは王国へと向かい、梓たちは、物部景のことを忘れていった。ただひとり、物部景を忘れず、彼の居場所を求めて動く千絵だが、彼女の必死な行動を理解できない梓たちは、日に日に千絵との間に距離を感じて……
「王国」へと足を踏み入れ、女王へと仕え始めた景と、彼のことを忘れていく梓たちを描いたお話です。
まさかここまでとは……。景が王国へと足を踏み入れたらどうなるかなんてことは、予想していたはずなのに、梓が覚えていないということが、これほど胸に響くとは思いませんでした。ウィンドブレーカーや録音テープがあれば、という甘い期待すら打ち砕くなんて……。
景のことを覚えているのが千絵だけというところが、また辛かった。彼女の必死さは、わかる。わかるだけに、誰一人共感してもらえないもどかしさに、親友たちとの間に走る亀裂の深さに、心苦しいものを覚えました。
それでも、覚えているのが千絵でよかったと心から思う。梓だったら景への思いは強くとも、きっと手立てが無くなり、折れてしまっただろうから。
ひとりでも、危険であっても、仲間のために、親友のために、諦めなかった彼女の姿に、挫けず前を向き続けた彼女の思いに、涙が止まらない。
そんな彼女の思いが、王国の扉を開いて……という展開には、鳥肌が立ってしょうがなかった。相手のことを覚えてなくとも、心の奥に震えるものがあるなんて……、読んでるこっちまで震えてくる。
DDが、茜が、ビーグルが、そして水原が。
大切な人を忘れたことで、気力すら萎えていた人たちが、仲間を取り戻すために、手を取り合って戦う姿が、すばらしく熱かったです。ああ、もう最高!しかも、これだけの盛り上がりを見せておきながら、まだ前編だっていうんだから、たまりません。
次なる巻でどういう展開が待ち受けているのか大いに楽しみですね。
Dクラッカーズ 6 (6)
あざの 耕平
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