Home > ライトノベル > [冲方丁] スプライトシュピーゲルⅢ いかづちの日と自由の朝

[冲方丁] スプライトシュピーゲルⅢ いかづちの日と自由の朝

複数の高官暗殺、大型兵器の都市流入、広範囲にわたる襲撃、ウィルスによる電子テロ計画、その全てが二十四時間以内に決行される可能性がある ― 情報を入手したMSS長官ヘルガは、対処すべく動き出したが、政治家どもの縄張り争いから対処が遅れ始めたとき、ヘルガ自身が襲われ、さらに内務大臣が暗殺されて……

複数の犯罪が行われようとしている中、MSSも狙われて……というところから、「24」のように、1時間ごとに展開が進行していくお話です。

いやあ、面白い。

いきなりヘルガが狙われるところからして、後手に回っているんですが、致命的なダメージを避けて挽回しようと思ったら、先の先へ行かれているという展開には、引き込まれるばかり。
さらに、殺された大臣の残した「リスト」という言葉が謎を呼ぶ中、ウィルスによるタイムリミットまで発生するんですから、読む手が止まらないったらないです。

追いつけそうで追いつけないあたりには、もどかしいものを感じますが、内通者がいるのでは?と思い当たってからがまた面白くて。なんせ、疑いの目のひとつに、冬真が入ってしまうんですから。

おかげで、鳳たちと冬真の間の空気が、いつもと違う感じになったのは、興味深いところでした。信じている、でも、任務に背くわけにはいかないと、揺れる鳳の心情が印象的でした。いつの間にやら、雛まで冬真に懐いてるだけに、亀裂には心痛むものがありました。

鳳だけでなく、冬真にも、今までに無い心情が見えたのは、良かったなあ。ただ守られるだけの存在であり、命をかけて戦っている少女達に気後れを覚えていて、疑いの目を向けられる立場となったことで、鳳へ心痛を与えてしまったことに落ち込む姿には、弱さしか見えませんでしたが、鳳の気づかいと水月無の協力から、立ち向かうことを選んだところに成長を感じました。さりげない恋愛要素と、今までなかった友情が芽生え始めたところは、今後も楽しみなところですね。

命を懸けて戦うものたちを邪魔するのが、同じ国の人間であるというところには、こんなときでも政治的立場かと、イラ立ちを覚えますが、そんな中、常に冷静に前を向く鳳は格好良かったなあ。

「あたくしたちは、もはや疑ってもいないのですわ。この体を。決して失墜しない羽を。全てのスタッフを。戦線の仲間を。疑えば飛ぶことなどできません。それが、あたくしたちの弱さであり、強さなのです」

死を目の前にした少女に、仲間への信頼をこれほど見せられてしまったら、行動するしかないですよね。

絶体絶命から抜け出すきっかけが、彼であったところに、にやりとさせられますが、お調子者にしか思えなかった水無月の背負ったものと、ボスへの思いに切ない限り。

今回もまた最後に逃すのか……と思ったときに、見せてくれた特甲児童の機転には思わず、ガッツポーズ!例のアレはまだ動いてるだろうし、何よりミリオポリスの中にも、巣くっている闇があることがわかってきたので、まだまだ予断を許しませんが、それでもきっと彼女たちがいれば……、そう思わせてくれる物語でした。

次はどんな展開を見せてくれるのか、とても楽しみ。

スプライトシュピーゲル 3 (3) - 冲方 丁

スプライトシュピーゲル 3 (3)
冲方 丁

富士見書房(文庫)
Amazon | bk1


関連エントリー
[冲方丁] [スプライトシュピーゲル感想一覧] [オイレンシュピーゲル感想一覧] [富士見ファンタジア文庫] [ライトノベル]

Home > ライトノベル > [冲方丁] スプライトシュピーゲルⅢ いかづちの日と自由の朝

Trackback:2

TrackBack URL for this entry
http://www.booklines.net/mt/mt-tb-t.cgi/2035
Listed below are links to weblogs that reference
[冲方丁] スプライトシュピーゲルⅢ いかづちの日と自由の朝 from booklines.net
誰がために。『スプライトシュピーゲル 3』 from うかばれないもの 2007-11-05 (月) 22:33
スプライトシュピーゲル 3 (3) (富士見ファンタジア文庫 136-10) 冲方 丁 暗殺、襲撃、バイオテロ、電子テロ、その全てがミリオポリ...
冲方丁 スプライトシュピーゲル3 いかづちの日と自由の朝 from たかいわ勇樹の徒然なる日記 2007-11-20 (火) 14:18
 今月1日に冲方丁先生が2つの違うレーベルにまたがって展開している「スプライトシュピーゲル」と「オイレンシュピーゲル」の最新巻が同時に出ましたが、「スプラ...

Comment:0

Comment Form
Remember personal info

Home > ライトノベル > [冲方丁] スプライトシュピーゲルⅢ いかづちの日と自由の朝

Search
お気に入り

左遷された北嶺で隠居生活を堪能しようとした史官ヤエトの前に、皇女が太守としてやってくるお話。

翼の帰る処 上 (1) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-1)

中間管理職的苦労に悩まされるヤエトの姿がとても楽しいですが、それだけじゃなく、北嶺と帝国の歴史的秘密が見えてくる展開に興味を惹かれること請け合い!下巻が今から楽しみです。超オススメ!→上巻感想


普通の社会人であるこかげが、異世界の騒動に巻き込まれるお話。

wonder wonderful 上wonder wonderful 下

やさしさで涙する物語でした。あ、もう最高!王宮話やら恋愛要素やらも非常に楽しく、読み進めるにつれてゴロゴロ転がりまわりたくなること必至です!今年一番のオススメ!→感想 上/ 感想 下


わくわくするような大冒険がしてみたいな

時載りリンネ! 1 (1) (角川スニーカー文庫 203-1)時載りリンネ! 2 (2) (角川スニーカー文庫 203-2)

本を読むことで、滋養と時を操る力を得る「時載り」一族。読書よりも遊ぶことのほうが大好きという、おしゃまな女の子・時載りのリンネと、彼女に振り回される男の子・久高が繰り広げる冒険物語。どの年代の人が読んでも楽しめる最高のジュブナイルです。→感想


十八番目の皇女という立場から、何も手にすることができなかった月華が、心の内に「龍」を飼う涼狐の剣舞に惚れて、剣を手にする中華風ファンタジーのボーイ・ミーツ・ガール。

DRAGONBUSTER 1 (1) (電撃文庫 あ 8-13 龍盤七朝)

淡々と語られている物語だと思っていたのに、気づけば引き込まれています。溜め込んだエネルギーが、次なる巻で爆発してくれることでしょう。背筋がゾクゾクするほど、楽しみでなりません。→感想

なかのひと

Page Top