拉致された二ノ宮峻護を奪還するために、全力を注いだ北条麗華が、敵のアジトで発見したのは、峻護の姉・涼子と月村美樹彦だった。麗華をコケにし、涼子と美樹彦ですら相手にしないほどの傑物・ヒルデガルドなる少女は、そのころ峻護を連れて、日本の二ノ宮家を訪れていた。峻護の精気を散々吸い尽くしたヒルダは、月村真由の命を救う条件として、峻護に対価を見せろと言い出して……
欧州血族の神威ヒルデガルト・フォン・ハーテンシュタインが、神威の可能性があるという峻護に、真由を助けるにふさわしいと思わせるような価値を見せつけてみろと言い出すお話です。
要求を満たせない場合は、峻護の未来は現在のシモベから奴隷に、という賭けを負うことになるとは、いつものことながら、苦労を背負ってるなあと思わされるばかりですが、このヒルダがすばらしく素敵でした。
見た目は十歳前後でありながら、精神年齢は五百歳を越える天才ってだけあって、老成したしゃべり方といい、力ある者らしい傲慢な態度といい、惚れ惚れしてしまいます。「ネギま」でいうエヴァンジェリンみたいな人ですね。
傲慢といっても、そこには正しき理があったりするので、峻護としてもやりにくいったらないだろうなあ。抑えつけられつつ、反発する要素が見当たらないんですから。何かしら納得させる価値を見つけるために、動き回りながらすべてが手詰まりになっていくところは、もどかしさを覚えるばかりでした。
一方の真由にしても、峻護に頼りきりでは駄目だと思いながら、何もできない状態が続いてて、なんだかなーと思っていたんですが、そうかそうか、今の真由はそこまで来てたのか。天然な姿ばかりだけに、すぐに気づけませんでしたが、抑えていたであろう気持ちを考えると、切ないものがありました。
ただ、思わせぶりな表現ばかりで、話が見えてこないところは辛かったです。ヒルダはともかくとして、涼子・美樹彦の思惑もイマイチつかめないし、何より、ヒルダを納得させるために、峻護がどんな逆転劇を持ってくるのかと思ってたら……、うーん。
ひっくり返ったのは、相手の気まぐれでしかないって展開は、ちょっとすっきりしないなあ。なまじ期待していた分、拍子抜け度が大きかったです。
「ひとりめ」が出てくるという幕の閉じ方のわりに、なんて引き!と思わないってことは、惹かれるものがなくなってきたのかしら。
とりあえず、続刊は様子見することにします。
ご愁傷さま二ノ宮くん 8
鈴木 大輔
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