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[冲方丁] スプライトシュピーゲル Ⅱ Seven Angels Coming

同じ特甲少女がテレビに出てて羨ましいと、乙や雛が暢気に話し、鳳に窘められる。そんな平和な空気は、空から落下してきた人工衛星の火花によって一変した。人口二千五百万人の超巨大国際都市ミリオポリスの元に、七つのテロ組織が参入し、人工衛星から取り出した原子炉を奪っていったのだ。核の脅威、そして軍の参入を防ぐために、MSSの邀撃小隊は、空を翔けめぐったが……

七つのテロ組織と核から町を守るMSSの活躍が描かれたお話です。同じ事件をMPBの視点から描いたのが「オイレンシュピーゲル 弐 FRAGILE!!/壊れもの注意!!」ですね。オイレンを先に読んでいるので、事件のあらましは知ってますし、どういう決着がつくかも知っているんですが、にもかかわらず、これほど引き込まれるんですから、さすがです。
あちらでは知らされていなかった事実や、意外な人たちが出会いなど、興味深いことこの上ないですね。

オイレンたるMPBの組織では、三人の少女がそれぞれ別行動によって事件を追っていましたが、スプライトのMSSでは、鳳、乙、雛という三人の少女に焦点を当てつつ、MSSという組織全体で、事件を追っていくところが、二つのシリーズの一番大きな違いでしょうか。

一点集中しているだけに、連携はうまくいくけれど、手に入らない情報が多く、後手に回ってしまうところは、なんともフラストレーションたまりますね。特甲少女三人の活躍は随所にみれても、追い詰めきれないところに、刻一刻と迫るタイムリミットと併せて、苛立ちを感じます。

そんな中、テロの情報を引き出すために、MSS長官ヘルガが取った行動が、意外な面白さを見せていましたね。甘美なる悪党カール・クライスとの取引において、圧倒されつつも、答えを導き出し、さらに情報を引き出す、ヘルガも素晴らしいですが、それ以上にクライスの魅力が伝わってきます。一言も話してないのに!ひょっとしたら今後も出てくるかもしれないので、覚えておこう。

最も印象的だったのは、鳳が以前の事件を心のそこで引きずっており、助けることができなかった人たちのことを思って、今度こそはと手を伸ばすシーンですね。子供爆弾の時、冬真の時、そして最後の時と。ほんの一瞬の出来事の間に込められた思いが伝わってくるだけに、抱きしめることができたとき、グッとさせられるものがありました。
泣けるといえば、モリサンと乙のシーンも……。悲しいとは言わない、と言いながら流す乙の涙に、こちらが涙。

オレイン視点の物語を読んだときに陽炎が、幾度か鳳に助けられるシーンが描かれていましたが、スプライト視点でも、そのあたりは忘れられていませんでしたね。相手の力を素直に認め、カバーしあうところは、思わず震えがでるほど興奮しました。どこで遭遇するかわかっているからこその興奮といってもいいでしょう。ああ、もうゾクゾクが止まらない。
危険が目の前に迫っていたとしても、仲間となら成し遂げられるという信頼と高揚感が伝わってくるところが最高でした。

最後の最後まで楽しませてもらいましたが、そういえば、新たな特甲が出てきましたね。たしかオイレンでは出てきてないか、あるいはこんな目立った行動はしてなかったような……。彼女たちはどの勢力なのか、いまいちわかりませんでしたが、トラクルを追っていることは間違いないので、いずれまた出会うでしょう。このあたりの話も楽しみですね。

スプライトシュピーゲル II Seven Angels Coming (2) (富士見ファンタジア文庫 136-9) - 冲方 丁

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