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[榊一郎] ディスパレイト!コンプ 01 昔日の双銀

人体実験を繰り返し、アルメダ連邦陸軍は、「あちら」の世界の生物、ディスパレイトの制御に成功しつつあった。そんなディスパレイトの制御に長けた人材軍用基準性能調整児童の一員であり、戦う事しか知らないトルクは、ある日、一人の少女テレスと出会った。軍により、実験と称して手を加えられていた彼女と話をしていくうちに、いつしかトルクは彼女と会うのが楽しみになっていったが……

存在するだけで尋常ならざる現象を引き起こす異世界の生物ディスパレイトを戦争に利用しようとする軍の元で、ディスパレイトを制御するための措置を施された少年トルクと、ディスパレイトを利用した「女王」実験のために、侵略地から自由を奪われたテレスが出会って、という、いわゆる禁じられた恋の物語って感じになるのかしら。

己のやる事に何ら疑問を持たず、ただ機械的に毎日を過ごしていたトルクが、タンクの中に漂っているテレスを見たときから、少しずつ心を持ち始めていくところがいいですね。特に出会いのシーンは良かった。かみ合わないやり取りから、彼の状態を知って、もう一度「出会い」から始めようとするテレスの姿勢に、優しさが伝わってきました。

テレスとのやり取りを経るうちに、さざ波すら立たなかった心が、少しずつ少しずつ揺れ動くところは、ホントうまいなあと思いましたね。いつしか彼女と会える事を楽しみに思う気持ちになるのもわかります。それでも、トルクとテレスの関係は、捕虜と監視役でしかない。自分でも気づかない思いから迷う姿には、切なくさせられました。

彼女の言葉を聞いて、彼女の歌を聴いて、徐々に心を取り戻すトルクの姿には、うれしくもあり、不安もありました。なんせ、今まで何とも思っていなかった軍の姿勢にまで、不快感を覚えていくんですから。

彼女のためにと思って行動したことが裏目に出たり、共に彼女の監視に当たっているギルクリストが、ダラス准佐の弟であるトルクの境遇を羨み、しかもトルクとテレスとのことも知ってしまってと、何かやってきそうな雰囲気がひしひし。

裏切り者や捕虜への同情は、即、死に繋がるといった状況で、いったい彼女とどうなっていくのかというのが今後の話になっていくのかな。

と思ったら、これって、過去編なの?
本編はドラマガで連載されてるってことなので、いずれ文庫化されると思いますが、今のところ、過去編であるこちらのほうが気になるので、速いところ続きをお願いしたいですね。

ディスパレイト!コンプ (1) - 榊 一郎

ディスパレイト!コンプ (1)
榊 一郎

富士見書房(文庫)
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