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[野尻抱介] 魔法使いとランデヴー ロケットガール 4

トラブルにより小惑星探査機<<はちどり>>の回収が不可能になってしまったというニュースが流れたとき、マツリは突然言い出した。「ゆかり、茜、<<はちどり>>を助けにいこう!」
どう考えても無謀な計画に、ゆかりは難色を示したが、マツリの抱える事情を聞いて、できることがあるならばと、実験的過ぎるミッションに取り掛かり始めて……

という書き下ろしの中編「魔法使いとランデヴー」と、ドラゴンマガジンに掲載された短編「ムーンフェイスをぶっとばせ!」「クリスマス・ミッション」「対決!聖戦士VS女子高生」の三編からなる短編集です。以下、各話の感想など。

ムーンフェイスをぶっとばせ!
タレントのミムタクが、ゆかりたちと宇宙でランデブーするお話。あーなるほど、無重力状態では、思いもよらぬ生理現象が起こるんですね。ムーンフェイスとは、無重力状態のおかげで、顔がアンパンマンのようにまんまるになってしまうことを指すんですが、本人からしたら切実なことでも、見てるほうとしては、思わず笑ってしまいますね。よりによってミムタクがそんな状態なので、普段とのギャップが激しく思えるからなんでしょうね。イラストがまたコミカルさに拍車をかけてくれます。かなり強引な解決策にもにやり。

クリスマス・ミッション
陸上着陸のテストを兼ねて、釧路の孤児院にクリスマスプレゼントを届けるお話。個人的には、この話が一番好きだなあ。偽善的行為が嫌いなゆかりが反対するのもわかる気がするのは、「かわいそう」という視点から孤児たちを見るマスコミたちの行動があるからでしょうね。ただ、そんなマスコミを使わないと、ゆかりたちのPRができないというのは、なんとも皮肉。

そんな孤児院で、マスコミの取材にうんざりしてしまった邦夫くんが、ゆかりたちに対しても冷たく当たるところは、同情する余地もあるような気がしましたが、ちょっと寂しかったですね。茜が戸惑う中、ゆかりが告げた言葉は、厳しくあったけど、きっと邦夫くんの心の礎になってくれるでしょうね。かっこよすぎて痺れました。最後のオチはかっこ悪いような気がしなくもなかったけど、「これも宇宙飛行士の仕事なんだ」という言葉に、じーん。

対決!聖戦士VS女子高生
国際宇宙ステーションにテロリストがやってくるお話。なんで途中で気づかなかったんだろうとか思わなくもなかったけど、聖戦士として自爆しようとしていた連中が、茜やマツリに籠絡されていくところに、いや、ゆかりに誰も見向きしなかったところに、お約束だなあと思いながらにんまり。ぼくはゆかり好きですよと言っておこう。
なんか、微妙なところで終わってしまったので、もうちょっと見たかったかなあ。物足りない。

魔法使いとランデヴー
上に書いたあらすじのとおり、小惑星探査機を回収するために飛び立つお話。普段能天気なマツリですが、シャーマンとして普通の人には見えないものが見えている以上、いろいろ苦労もあるんですね。周囲の人に理解されにくいだけに、余計大変だと思いますが、たとえ理解できなくても、相手が本気で語ってくるのなら、応えてあげるのがゆかりなんですよね。反対していたはずが、誰よりも熱心に立ち向かい、力技だろうがなんだろうが、実現させてしまう手腕を見てると、やっぱリーダーだよなーと思いますね。

いつものような宇宙ロマン的なところは、あまり感じられなかったんですが、目標に向かって一丸となっていくシーンとか、やっぱりいいですよねぇ。温かさが感じられるラストもよかったです。

ちなみに、この<<はちどり>>のお話は、救出方法こそ異なるものの、実際に起きたこととほぼ同じらしいです。いやはや、事実は小説よりも、とはよく言ったもので。

いやあ、面白かったです。短編だとどうしてもコミカルさが中心になってしまって、ちょいと物足りないなあなんて思うところもあったんですが、ロケットガールたちの活躍には、満足でした。できれば、長編も読んでみたいなと思うんだけど……、続きは出てくれるのかしら。出てくれるとうれしいな。
いや、続きを期待という点で言ったら、「クレギオン」シリーズのほうが大きいんですけどね……。

魔法使いとランデヴー - 野尻 抱介

魔法使いとランデヴ ロケットガール 4
野尻 抱介

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