7年ぶりに日本に帰国した姫木梓は、幼馴染の物部景が、幼いころ共に過ごしたときとは違う暗い雰囲気に包まれていることが気になって仕方なかった。そんなある日、クラスメイトが学校の屋上から飛び降り、重症を負ったが、なんと彼女はカプセルというドラッグを服用していたらしいという話だった。しかも、彼女と最後に話をしたのが、物部景だと聞かされた梓は、いてもたってもいられず、景を問い詰めに行ったが……
仲間の自殺や、天使や悪魔が出てきて願いをかなえてくれるという噂のドラッグの謎を、帰国子女の梓と実践捜査研究会の千絵が追いかけていくというお話です。
もともと富士見ミステリー文庫で出版されていたのを、新装版として富士見ファンタジアで出したとのことですが、富士ミス時代の作品の最初の三冊を、二冊にして出してくれたおかげで、一巻目はちょっと分厚いです。約500ページ。にもかかわらず一気読みでした。誰ですか、「スロースターターだから」「三巻ぐらいから面白い」と脅してくれた人は。初っ端から面白いじゃないですか!
和やかな学園風景から始まったと思ったら、飛び降り、ドラッグ話と急展開。ひょっとしたら幼馴染の景が事件にかかわっているのかもと、慣れない学校内なのに奮闘するさまは、景を信じたい、信じてるという心からなんですよね。あまり表に出さないものの、気になる男の子への思いが伝わってきました。
そんな梓と共に調査をはじめた千絵が素晴らしいです。普段はクールに決めてくれるものの、事件が始まったら、話をこっそり盗み聞きするような好奇心旺盛さや、入るタイミングを見計らうなどの探偵よろしくする姿が、微笑ましい。
格好だけでなく、探偵らしい思考回路にも見所がありましたし、事件解決後は、もっといい方法があったのではないかという探偵の葛藤まで見せてくれるんですから、素晴らしいですね。
逆に好奇心がピンチを招いていくことにもなるんですが、千絵がいなかったころはどうして大丈夫だったのか、むしろそっちがミステリー。
カプセルを追いかけているうちに、バイヤーを知り、そこからカプセル売買組織「セルネット」にたどり着いてと、どんどん危ない方向にいくので、女性二人で大丈夫かと思ったら、なるほど、そう来たか。いや、何かしらあるんだろうなと思ってたんですが、まさかここまでだとは思いませんでした。
個人的に印象的だったのは、梓が景に負ぶさって運ばれたシーンですね。昔を思い出させる光景とは逆だけれど、遠いように感じていた景の心が、決してそうでないと思わせてくれるものがありました。まだちょっと距離を感じるけど、焦らず縮めてほしいですね。
それにしても、まだまだ謎があるなあ。カプセルを摂取すると悪魔が出てくるのもそうだけど、カプセルを使ってない梓に見えることとか気になります。
気になるといえば、茜は良い具合に千絵と張りそうな予感がするだけに、頭脳戦もひょっとしたら展開されるのかなという期待があったりするんですが、どうなんだろう。これから、敵対していくのか、それとも仲間とまでは言わなくても協力関係になっていくのかは、ちょっとよくわからないなあ。甲斐があんな感じだとすると難しいか?ああ、興味がつきません。
よりによって、盛り上がり始めた直後で、この巻が終わってしまったので、あーもう!と叫びたくなりました。いやあ、いいです、面白い。手を出そうかどうしようか迷っていたときに、多くの人から勧められた理由がわかりました。今まで読んだことがないのなら、これを機会に手を出してみてもいいですよね。
ちなみに富士ミス版とは、カバーイラストだけでなく口絵も変わってるそうなので、既にもってる方も手にとって見るといいかも。
Dクラッカーズ 1 (1)
あざの 耕平
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Comment:2
- No Name 2007-05-23 (水) 21:49
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自分は一巻どころか、雑誌読みきり(結末だけが少し違うVerで他作品に敗退)の時にこの作風にやられてしまいましたw
イラスト変えて長編になった時は嬉しさと不安でいっぱいだったのを覚えています。内容が内容だけに……薬チュ。まだ、あざの耕平氏はコレを超える作品をまだ生み出していない。……と個人的に思えるくらいに、挑戦的、独創的でありながら最終巻まで”起承転結”の確りとした良作品です。
安心して最後まで追っかけて下さいw
- deltazulu 2007-05-24 (木) 12:58
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まだ一巻しか読んでないですが、そこまでオススメされると期待に胸が躍りますね。最後まで(12月だっけ?)楽しみに追いかけていきたいと思います。







