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[枯野瑛] 銀月のソルトレージュ2 金狼の住処

創立際二日目。学術院はあふれんばかりの人で賑わっていた。いつもと変わらぬ風景、いつもと変わらぬ友人。だが、リュカの心には疑問が渦巻いていた。多くの人が亡くなった、あの夜から一週間が経つのに、何の騒ぎも起きていないのだ。
ひょっとしたら、学術院も魔法について何か知っているのかと、思い当たったとき、何も言わず去っていった少女が、変わり果てた姿で自分の目の前に現れて……

平穏な生活に戻ったのに、魔法について調べてしまうリュカの焦りというか、何がしたいのか自分でもわからない感じが伝わってきましたが、これはもうジネットに会いたいからとしか思えなかったですね。
すぐ側にアリスというかわいい子がいるのに!とアリス贔屓な身としては、思わず説教したくなるところですが、自分の立っているところは、既に違う世界にあるということが、何となくわかっているからじゃないかなあ、と思ったりもしてしまいます。

今回はリュカの叔父さんが、いい感じに活躍してたなあ。ジネットと同盟を組むまではともかくとして、そのあとの奇策には、これがほんとにあのリュカの叔父か?と思ってしまいましたね。いやあ、目が点になる集団をみるのは、とても楽しいものですね。

学術院も魔法を知っているということが明らかになったわけですが、リュカが詳細を聞こうとすると、みなが関わりあうなと言うあたり、なぜなのかという疑問が、ずっと頭の中にありましたが、事実を知らされたときには、納得です。そりゃ、誰もが隠すはずだ。
思わず胸を押さえてしまう話でもありましたが、このあたりは、過去の話もいろいろ絡み合うんですよね。この過去話がまた何とも涙を誘うもので……

叔父であるアルベールが経験したことよりも、姪っ子であるクローディアの決意に、まだ幼い少女の覚悟に、成長した今となっても言葉に出すことができない状況に、切なくなりました。いつか……はあるのかなあ。

二百年も前の話は現実にあったということが、実感できなかったリュカが、ジネットとのちょっとしたやり取りから、目の前にいる人は、魔法などを使えるとはいえ、同じ悩みを持った人なんだなと、実感していくところが良かったですね。
この実感があったからこそ、リュカは最後までリュカたる行動をとったんだと思います。

いやあ、面白かった。雰囲気は相変わらず良いし、いろいろ謎なところもわかってきたし、それでいて、あのラストですからね。別れてしまった者たちの出会いが、今後どうなっていくのか楽しみです。

銀月のソルトレージュ 2 (2) - 枯野 瑛

銀月のソルトレージュ 2 (2)
枯野 瑛

富士見書房(文庫)
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