毒をもって毒を制す。つまり罪人に対して、罪人を「咎人」として立ち向かわせるのが、凶悪犯罪に対するこの国の回答だった。「咎人」である姉と共に「咎回し」である鉄斎は、とある犯罪者を追っていたが、そこで出会ったのは、人間とは思えない形状の化け物だった。
もはやこれまでかと思ったときに現れた正義の光。それは太陽戦士サンササンの力を引き出すヘルメットだった……
第18回ファンタジア長編小説大賞準入選作品。
タイトルだけ見て、どんなにおバカな物語なのかと思っていたんですが、いやいやどうして、熱い物語じゃないですか。初っ端はギャグっぽかったし、ヒーロー物っぽいシーンはギャグなんだけど、物語の中心部はシリアスでした。そっち方面を期待していた身としては、ちょっと拍子抜けではあるんですが、この心が熱くなるような物語は、かなり良かったです。
家族を失った鉄斎にとっては、姉と呼べる詩菜について複雑な感情を抱いているだけに、「咎人」として使わざるを得ないのは、きついよなあ。一緒に入れる嬉しさとの葛藤が伺えます。若いのと一直線なだけに、姉に対していろいろと当たってしまったりするんですが、ジャバとのやり取りで、自分の気持ちに気づいていくところがいいですね。ヘルメットに諭されるってのもなんですけど。
ジャバも正義の味方であるが故の葛藤に苛まされて、これがちょっと意外で、でもいい感じでした。鉄斎とのコンビは自分でも心地よかったんでしょうね。無理やり難しい言葉を使って、詭弁のように捲くし立てるところに、ニヤニヤさせられます。
個人的に好きなキャラは、ストリートギャングのボス愛兎ですね。自分の生まれた町が大好きで、何かあるとみなを守ろうとする暴走族。ああ、こういう悪者大好き。いてほしいときに、いてくれる。そんな存在感がたまりませんでした。
魔王だからといって、必ずしも悪ではない。そんな事情を感じさせる魔王ニカ・カジだっただけに、取り違えてしまったことは悲しいことですが、己で気づき、倒れた後に鉄斎にかけた言葉は、切なくも温かさに包まれていました。
いやあ、これはいいなあ。いろいろと拙いところは見受けられるんですが、ヘルメットの言葉に打たれたので、個人的にはお気に入りです。
きっちりと終わっているので、さすがに続編はでないと思いますが「燃える漢のファイアー・オパール」の原石に、今後も期待しましょう。
太陽戦士サンササン
坂照 鉄平
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