「確かに先生にはすごくご迷惑を掛けていますね、私。怒られるかも……いいえ、もしかしたら恨まれたり嫌われたりするかもしれません」
胸がちくりと痛んだ。
「でもね、私が私で居るということを最初に教えてくれたのは、先生なんです」
魔法の素質はなくとも内閣特別対策局というエリート組織に所属する椎葉十郎と、彼が臨時教官を務めることになった魔法士育成学校の生徒・月子が、トラブルに巻き込まれていくシリーズの第七弾。今回は、特別対策局と入れ替わろうとするマクスウェルの陰謀に、元特別対策局メンバーと十郎、そして月子が立ち向かう、シリーズ最終巻です。
ああ、もう最高!大人も子供も、みんな格好よかった。熱い思いに引っ張られて、すれ違いを乗り越えて、たどり着いたラストに、涙が出てくる。もちろん笑顔で。
伊蔵の企みは、わかっていても回避が難しく、特別対策局や囚われの身となってしまった十郎が動くに動けない状況に陥ったとき、やってきたのが、かつて特別対策局に所属していた人たちだってことに、グッときたなあ。思うところがあるだろうに、それでも一花という存在が残した経緯は、彼ら彼女らの思いを動かすものがあったんでしょうね。さりげなく、かつ重要な支援をしながら、姿を見せないあたり、小憎いったらありゃしない(いや、姿を見せたら危ないんだけどさ)。
大人たちが頑張れば、子供だって頑張ります。先生のためにと、再び仮面をかぶった月子を支えた友だちには、じんわりさせられましたし、そんな彼女の姿を見たくないと、恋敵を助ける駿介の男っぷりが素敵だった。こういった支えを実感したからこそ、月子は立ち上がることができたんですよね。完璧だった歯車を狂わせてくれた彼女の覚悟と、その覚悟を受け止めた十郎の信頼関係が素晴らしかったです。
それぞれの思惑が動き出す中、意外な方面から特別対策局への支援があって、何とか乗り切れたあと、ついにマクスウェルと対決することになったところの戦いは熱かった。なんだかんだで、十郎とあの男は、ライバルだったんだと思います。勝つために己の技術のすべてをかける、そんなこと早々ないでしょう。まったく男ってやつはバカなんだからと思いながら、ふたりとも応援した僕がいた。
いやあ、面白かった。さまざまな魔法士の立場を描き、出会いによって大きく成長して。中学生と担任教師という年の差カップル模様もニヤニヤできて。
最後に流れた涙は、こちらまで嬉しくなるものがありました。素晴らしいラストでした。次の作品も期待してます!
スクランブル・ウィザード7 (HJ文庫 す 3-1-7)
すえばしけん
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