「後悔しない人生はありません」
耕介の顔に初めて表情のようなものが見えた気がした。
「なにか行動をしても、なにもしなくても後悔はします。だからやったことを悩んでいないで今いいと思うことをしたらいい。君は自分を善い方向にするために行動した……でもきっと失敗したんですね。でもそれを悔やむより、この先善いと思うことをまたしたらいい」
大学の研究室に入り浸っていたら、アパートの更新料が払えなくなっていた。このままでは授業料も……と、教授に相談したところ、住み込みでお客さんの面倒を見るというバイトを紹介してくれた。だが、そのお客さんが「魔法使い」とのことで……感情表現ができなくなった科学者・大倉耕介と、愛らしい魔法使いの少女・咲耶のコンビがみせる科学と魔法の物語です。
これは面白かった!素敵な年の差カップルものですね。
始めは、一般の人である耕介に壁を作っていた咲耶が、トラブルをきっかけに耕介に心を開いて、だんだんと甘える様子を見せてくるところは、可愛くて可愛くて。
一方の耕介は、過去の出来事から、周囲に困ってる人がいたら、手をさしのべることに躊躇しない人だから、咲耶の面倒をみて、打ち解けつつも時折見せる「恐れ」を感じたら、手を差し伸べて、そっと導いていくんだから、格好いいったらないです。こんなの見せられたら、感情表現が苦手というハンデもなんのそのですよ!
先生と生徒、みたいな二人を見てるのもいいけど、耕介の幼馴染的存在であるあすみも、ふたりの間に入ってきて、これがまたいい感じなんだ。明るくのほほんとした彼女は、耕介に好意を寄せていて、咲耶とも仲良く、時にライバル心を向けられることもあるけれど、一緒にいるのが楽しいと言う、この距離感と雰囲気が素敵だ。当然のごとく、耕介は好意に気づいたりしないわけですが。
年の差カップルがいいといいつつ、耕介とあすみのカップルに、咲耶が娘的存在になった家族でもいいんじゃね?とか思ったりもする(節操ないな)。
で、咲耶には、魔法について背負うものがあったりするのが物語の主軸なんですが、この魔法と科学の関係が面白いんだ。なんていうか、結果が同じになるなら、非なるものだけど似てるよねという(わかりづらいな)。
魔法では妖精さんを使うけれど(これがまた可愛い)、その効果には、化学も干渉できるので、魔法使い同士の争いに耕介も参戦できるってのが面白かったですね。
咲耶が背負ったものは重くとも、その裏には善意が隠されていて、もちろん葛藤も多いんだろうけれど、それでも支えていきたいという人の思いが見えて良かったです。
これはぜひとも続きをお願いしたいところです。おすすめ。
第3回ノベルジャパン大賞・奨励賞受賞作。
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