「私は秋永壱里を目指してなんかない。私が目指しているのは最高の調停員だけだ」
この島に来て以来、ずっと共に過ごしてきた相棒に向かって、笑う。
「だから、私はやるよ。たとえ相手が、秋永壱里であってもだ」
人魚、巨大な土蜘蛛、ハーピー、ケンタウロスなどなど、幻想の島にしかいない幻想の生物・オルカ。彼らの間に入り、諍いを調停する職務を夢見て赴任してきた新人調停員・稲朽深弦が、失敗を繰り返しながらオルカの信頼を得ていくシリーズの第四弾。今回は、行方不明だった深弦の師である秋永壱里が、突然帰還したものの、記憶喪失都言い出して……というシリーズ最終巻です。
楽しかったー。
最高の調停員として名高い壱里を前にしたものの、記憶喪失&奇妙な調停ばかり繰り返すため、緊張する暇もなく騒動に巻き込まれて行くわけですが、たとえ目標とする人であったとしても、間違っていると思ったら、ちゃんと意見し、そのとおりに実行できる深弦が素晴らしい。これまでの経験と、オルカへの信頼、そして何よりオルカのことが好きだと言う思いが、彼女を進ませたんでしょうね。
いつもながらの掛け合いで笑わせてくれるけれど、熱い思いと、オルカが信頼を寄せたくなるような格好よさを見せつけてくれて、その信頼に応えるべく動くオルカたちとの協力を得る、ちょっぴり強引な調停っぷりにやられました。これが最終巻だなんて、ほんと残念でならないです。
ちなみに、本編のあとに、セシルと深弦の、それぞれの調停短編が収録されています。どちらも楽しかったけれど、笑いまくったのは、セシルの話でした。調停と言うより、詭弁合戦ですが、知恵比べをしようとした天狗を追い詰めて行くやり口に、鬼がいる!と思いながらニヤニヤした僕がいます。
ああ、楽しかった。次の物語も期待して待ってます。
オルキヌス4 稲朽深弦の調停生活 (GA文庫 と 2-4)
鳥羽 徹
ソフトバンククリエイティブ(文庫)
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